松田優作×桃井かおりの“暑苦しさ”が愛おしい 1983年の名作『熱帯夜』は心に訴える力がある

脚本は早坂暁。『熱帯夜』の時代、吉永小百合のNHKドラマ『夢千代日記』シリーズ(1981~84年)を代表作に持つ作家で、NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(2025年)で注目された平賀源内を主人公にした伝説のNHKドラマ『天下御免』(1971年)を書いた脚本家である。
プロデューサーは1981年からはじまった『北の国から』シリーズや『オレゴンから愛』(1984年/フジテレビ系)で倉本聰のドラマを手掛けてきた中村敏夫。当時のヒットメーカーが集結した意欲作だったと考えられる。
松田優作と桃井かおりの強烈な個性と芝居の巧さを味わうドラマでもある。当時、松田優作は33歳(1949年生まれ)、桃井かおりは32歳(1951年生まれ)で、2025年にこの年齢に近い俳優というと、菅田将暉が32歳(1993年生まれ)、神木隆之介が32歳(1993年生まれ)、吉沢亮が31歳(1994年生まれ)、仲野太賀が32歳(1993年生まれ)、高畑充希が33歳(1991年生まれ)、波瑠が34歳(1991年生まれ)、門脇麦が33歳(1992年生まれ)、有村架純が32歳(1993年生まれ)、二階堂ふみが31歳(1994年生まれ)、のんが32歳(1993年生まれ)……といま引っ張りだこの俳優ばかりだ。

だが例えば、この俳優たちがいま『熱帯夜』のようなものをやれるかというと、どうだろう。菅田、神木、二階堂は、1984年を舞台にした『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(2025年/フジテレビ系/三谷幸喜脚本)の主要人物役で出演していたが、脚本家や演出家の違いはもちろんあるとはいえ、似たような時代、ふきだまりに生きる人間を演じても、雰囲気はまるで違っていた。松田優作も桃井かおりも熱量と技術力は圧倒的。濃密すぎるほど濃密で。これがあの時代なのかと圧倒される。
『熱帯夜』は音楽劇の側面もあって、音楽が宇崎竜童のほか、劇中で『時には母のない子のように』、『フランシーヌの場合』など当時、流行った楽曲が流れる。ほかに、サチ子のオリジナルの歌も。そのなかで最後の最後にかかった曲は、あまりにも皮肉で、やるせなく筆者には響いた。
当時を知る者たちが懐かしく観るのもいいけれど、いまの若い世代の人がこれを観たら、心の内から何かが引きずりだされたりはしないだろうか。
■放送情報
『熱帯夜』(全3話)
CSホームドラマチャンネルにて、1月7日(水)・8日(木)・14日(水)20:00ほか放送
脚本:早坂暁
出演:桃井かおり、松田優作、せんだみつお、ケーシー高峰、熊谷真実、岸部一徳、神山寛
©フジテレビ
番組ページ:https://www.homedrama-ch.com/series/18782























