シャリア・ブルがNo.1“アゲキャラ”に 『ジークアクス』で変化した“初代”キャラクターたち

最終回放送後もなお感想や考察などがさかんで、強い余韻が続く『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』。
きわめておおざっぱにいえば、本作は1979年より放送されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』およびその劇場版三部作、“初代ガンダム”ファーストガンダム”と呼ばれることもある作品の設定、世界観を下敷きにしながら大胆すぎるほどの新たな世界を構築した作品である。
ある意味歴史の「if」を描くスタイルといえるが、本作には初代ガンダムをはじめとした“宇宙世紀”を舞台にしたシリーズのキャラクターやモビルスーツが多数登場するものの、新たなストーリーの「分岐」により、初代とは全く異なる道をたどることになるキャラクターも続出した。
つまり、初代からの扱いや登場・活躍度が大幅に上がったキャラがいれば、下がってしまったキャラもいる。
『ジークアクス』最大のアゲキャラは、満場一致でジオン公国軍中佐、「木星帰りの男」シャリア・ブルだろう。
初代ガンダムでは放送話数の短縮により予定よりも登場話数が減ったこともあり、テレビ版の1話ぶんだけの登場、劇場版では丸ごとカットされたような存在だった。それを元の設定や富野由悠季(当時:富野善幸)の手による小説版の描写などもふまえ、キャラクターデザインも大幅に変更、作品内でも初代キャラとジークアクスオリジナルキャラたちをつなぐような存在として大活躍した。終盤にきて、その行動の真意や、いわゆる「正史」のストーリーを彷彿させるようなことが語られたりするなど、ストーリーの軸として最重要人物のひとりとまで大幅格上げされた。
前述のようにシャリア・ブルの登場はテレビアニメ版のみなので、劇場版しか観たことがない層がテレビ版に興味がわき、観始めるという現象が起こった立役者といっても差し支えないだろう。
続いてはジオン公国突撃機動軍司令官、キシリア・ザビだ。紫のマスクと一体型のような軍服が特徴的なザビ家長女、兄のギレン総帥と対立し、シャアのことも「キャスバル坊や」と含みをもたせるような呼び方をするなど、初代でも印象的な存在ではあったが、『ジークアクス』ではニャアンに自ら料理をふるまい驚かれるなど新たな一面を見せたり、小説版の描写にもあった、子供時代のキャスバルとアルテイシアのブロンドヘアの見事さに目を奪われたりなど、人間味ある描写が大幅に増え、サイコミュ技術の導入をはじめとした作中の重要局面の中心となる人物となった。しかも、ニュータイプである描写まで追加、ファーストと同じくシャア(の赤いガンダム)のバズーカに撃たれ絶命という演出がなぞられるところまで含めての爆アゲぶりだ。
そして、登場そのものに驚いたのが、ゲーツ・キャパだ。初代ではなくテレビアニメの続編『機動戦士Zガンダム』に登場する強化人間だ。ロザミア・バダムの「兄」という役割をつとめるキャラという以外、さほどの大活躍の印象もなく、正直地味キャラ枠だったかもしれない(搭乗したモビルスーツ「バウンド・ドック」も地味なカラーリングの2号機だった)。それが『ジークアクス』では強烈なインパクトを放つ強化人間ドゥー・ムラサメとともに登場しクランバトルに参加、このドゥーのキャラとあいまって、同じような監視キャラ的存在であるものの、その若返ったルックスも含めて印象度が大幅アップしたことは間違いない。登場そのものがサプライズだったといっていい。
他にはシャアの副官ドレンやキシリア配下の大尉マリガンなども初代とは違う魅力を放ち、アゲキャラ枠といっていいだろう。ジオンのパイロット、トクワン(初代ではモビルアーマー・ビグロに搭乗)、デミトリー(初代ではザクレロに搭乗)は登場・活躍シーンは激減ではあるが、出てきたことそのものを喜んだファンも多く、上がり下がりとは別のボーナスキャラのようなものだろうか。
ところでファーストのホワイトベースのブリッジクルーたちは、ブライトなど一部を除けば民間人の集団だったことはよく知られている。ガンダムワールドのスタート時点で歴史が変わっているため、彼らがホワイトベースに乗り込むことはなく(そもそもホワイトベースと同型機は白いガンダムごとシャアたちに鹵獲されてしまっている)、アルテイシア以外のメインブリッジのおなじみのキャラクターは全く登場しなかった。



















