“宇崎”間宮祥太朗たちが仕掛けた奇策の行く末は 『イグナイト』が示す“正義”への執着

『イグナイト』宇崎たちが仕掛けた“奇策”

 冒頭シーンからいきなり法廷にはじまり、宇崎が純子に原告となることを依頼する回想。事務所での作戦会議に、バス会社へ聞き込みをしていくシークエンス。普段のエピソードでは、前半部に案件の概要と調査、法廷に臨む前の準備段階が描かれ、後半部を法廷でたっぷり費やしながら“切り札”を登場させ、なかば後出し的にそれを得た経緯が描かれるという、オーソドックスな法廷ドラマのスタイルが取られてきた。しかし今回は前半からひたすら法廷シーンに注ぎ込まれる逆のアプローチで、後半部で本当の戦いに臨むため、最終的な勝利を得るために必要な“切り札”集めが行われていく。

 その“切り札”となるのはふたつ。まずは事故の検死を担当し、石倉の指示を受けて検死結果を改ざんした法医解剖医を手中に収めること。それに動くのは刑事の浅見(りょう)であり、まだ“落とす”ところまでたどりつかないが、高井戸(三山凌輝)が捕まえてきた小狡い犯罪者たちを使い、その法医解剖医が出入りしている闇カジノ(それを弱みとして改ざんに協力させられたと見立てている)を摘発する準備を進める。この切り札を得るために必要なことは、浅見自身が口にした「善良な市民の声を守ること」への執着に他ならない。

 そしてもうひとつは、無辜でありながら死後に罪を背負わされた裕生の無念を晴らそうとする宇崎家母子のやり取りから見出される、“誇りと覚悟”だ。事故からの5年間という歳月を、モヤモヤとした気持ちを抱えながら、ごまかしながら生きてきた者たちが、ようやくすべてを晴らすために自らの足で立ち上がり、戦っていくこと。同時に宇崎が回想する、幼少期に裕生からかけられた、「大切な人を悲しませない。それが正義なんだよ」という言葉。誇り、覚悟、正義。これらこそが、このドラマの根幹であり、泣き寝入りで終わらせないための切り札なのだ。

『イグナイト -法の無法者-』の画像

金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』

BABEL LABELがTBSと初タッグを組むダークリーガル・エンターテインメントドラマ。“争いの火種”があるところへと潜り込み、人々に訴訟を焚きつけ、あらゆる手段を使って原告を勝訴へと導く「ピース法律事務所」の弁護士たちの姿を描く。

■放送情報
金曜ドラマ『イグナイト -法の無法者-』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:間宮祥太朗、上白石萌歌、三山凌輝、りょう、及川光博、仲村トオル
企画・プロデュース・脚本:畑中翔太
脚本:山田能龍、山口健人
法律監修:福島健史
音楽:森優太
主題歌:B'z「恐るるなかれ灰は灰に」(VERMILLION RECORDS)
プロデューサー:山田久人、瀬崎秀人、駒奈穂子
編成:松本友香、杉田彩佳
監督:原廣利、山口健人、吉田亮
製作:BABEL LABEL、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/ignite_tbs/
公式X(旧Twitter)@ignite_tbs
公式Instagram:ignite_tbs
公式TikTok:@ignite_tbs

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