“宇崎”間宮祥太朗たちが仕掛けた奇策の行く末は 『イグナイト』が示す“正義”への執着

『イグナイト』宇崎たちが仕掛けた“奇策”

 『イグナイト -法の無法者-』(TBS系)は6月20日に放送された第10話から“最終章”へと突入する。

 5年前のバス事故の黒幕である石倉(杉本哲太)を倒すべく、ここまで綿密な計画を立てて一歩一歩進んできた宇崎(間宮祥太朗)や轟(仲村トオル)たち。湊市の市長である音部(髙嶋政伸)を打ち崩したのが第6話であり、前回のエピソードではおさらいするかのように5年前の事故前後の物語が展開された。それを踏まえれば、ドラマの後半戦の大半が“最終章”と密接に繋がる、実に抜かりのない作劇が為されてきたといえよう。

 石倉にたどり着くためにピース法律事務所の面々に必要とされる道筋は、いきなり石倉や、件のバス事故の背後にある自動運転プロジェクト“モビリティ・シティ計画”の中心を担うGIテクノロジーという企業を攻め込むことではない。まずは一連の事故にこのプロジェクトとGIテクノロジーが関与していることを、公に証明すること。しっかりと敵の出方を見極めながら段階を踏んでいく冷静さは、ドラマとしての派手さはないが、熱っぽくありつつもリーガルドラマとしての理知的な側面を決して崩さない、正々堂々とした本作らしいプロセスだ。

 今回打ち出した“第一段階”の作戦は、宇崎の父・裕生(宮川一郎太)が勤めていたバス会社「みなと中央バス」を相手に訴訟を起こすこと。母・純子(藤田朋子)を原告として仲間に加え、バス事故の原因が裕生の過失ではなく会社側の整備不良にあったという争点で挑んでいく。無論、原因となっているのはそのどちらでもなく、バスに搭載されていた自動運転システムの誤作動であることはわかっている。ここでの勝利を得ることよりも、石倉のすぐ下にいるGIテクノロジーという名前、事故を起こしたバスに自動運転システムが搭載されていたという言質を引き出すことが目的であり、宇崎は少々芝居じみた弁論を繰り広げるのである。

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