坂口憲二、休止期間を経て研ぎ澄まされた“表現力” 『最後から二番目の恋』に映る現在地

ブランクを感じさせない坂口憲二の“表現力”

 前作から11年の時を経て復活を果たし、フジテレビ系月9枠で放送されている小泉今日子と中井貴一主演のドラマ『続・続・最後から二番目の恋』。レギュラーキャストのほぼ全員が再集結し、変わらぬ元気な姿を見せている。なかでも、シリーズのファンを沸かせたのが、長倉真平役・坂口憲二の出演だ。

 2018年、国の指定難病「特発性大腿骨頭壊死症」の治療に専念するため、無期限の芸能活動休止を発表した坂口。同時に焙煎士の道に進み、自身のコーヒーブランドを立ち上げた。セカンドキャリアで成功を収める一方、2023年にはサントリー生ビールのCMに出演し、『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)で俳優復帰を果たす。

 坂口が演じたのは、主人公である風間公親(木村拓哉)の後輩刑事で、ある事件の捜査に陰ながら協力する柳沢浩二。“裏バディ”とも言える重要な役どころを、凄みを利かせた演技で見事こなしていた。かたや翌年の『ほんとにあった怖い話 25周年スペシャル』(フジテレビ系)では、いわくつきの病院に入院した患者が体験する恐怖を優れたリアクションで体現しており、10年近くブランクがあったとは思えないほど演技力は健在。現在は個人事務所を立ち上げ、俳優と焙煎士の二刀流で活躍している。今作は俳優復帰後3作目のドラマとなるが、レギュラー出演は実に11年ぶりだ。

 真平は長倉家の次男で、内田有紀演じる万理子の双子の弟。いつも笑顔で明るくフレンドリーな姿からは想像もつかないが、いつ再発するかわからない深刻な病気を抱えている役柄だ。そのため、一人の女性と深く関わることを避け、代わりに寂しい女性を癒す“天使”としての活動に励んでいた。その関係で隣に引っ越してきた千明(小泉今日子)とも男女の関係になるが、同時に別の女性とも会っていた真平。

 普通なら「最低!」となるはずだが、病気の件を抜きにしても憎めないのは、坂口の演技が本当にピュアだから。そのキラッキラな瞳で見つめられたら、きっと多くの女性は「しょうがないなぁ」と無条件に許してしまうのではないだろうか。軟派なようで、目の前の女性に対する誠実さも愛情もしっかり伝わってくる。そんな真平は千明を本気で好きになり、正式に恋人となるが、お互いに言いたいことを言い合える関係には至らずに破局。その後、最初はウマが合わなかった兄の和平(中井貴一)の部下・知美(佐津川愛美)と恋に落ち、結婚した。

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