小泉今日子が体現する“理想の大人像” 『続・続・最後から二番目の恋』に至るまでの軌跡

小泉今日子が体現する“理想の大人像”

 4月14日より、『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の新シーズン『続・続・最後から二番目の恋』が始まった。

 同シリーズは、2012年1月に第1期の連続ドラマ『最後から二番目の恋』、同年11月にスペシャルドラマ『最後から二番目の恋2012秋』、そして2014年4月に第2期となる『続・最後から二番目の恋』が放送されており、今回の『続・続・最後から二番目の恋』は同シリーズの第3期にあたる。

 第1話を観て、物語の中では確かに、時代や登場人物を取り巻く環境が変化しているように思えた。

 実は、主演を務めてきた小泉今日子自身も、この11年の間に大きく進化を遂げている。2015年に製作会社「明後日」を立ち上げ、舞台、映像、音楽、出版などの企画製作やプロデュース業に本格的に取り組むように。そして、PodcastやTikTokに挑戦したり、コロナ禍にはBTSにハマるという一面も。今の彼女の姿は、良い意味で11年前からは想像もできなかった未来の延長線上にあるのではないかと思っている。

 さらに演技における功績も更新。2025年1月28日に、映画『海の沈黙』と映画『碁盤斬り』などでの演技が評価され、2005年の『空中庭園』で主演女優賞を受賞して以来、19年ぶりにブルーリボン賞(助演女優賞)を受賞したのだ。

 そんなふうにマルチに活躍し続ける彼女だからこそ、『続・続・最後から二番目の恋』に登場する“吉野千明”の印象もアップデートされてしまうのではないか、と不安を抱いていたが、放送を観てみると全くを持ってそんなことはなかった。筆者の杞憂にすぎなかったと気付かされた。

 テレビ局の後輩たちに発破をかける姿、ムカつく上司を“アホ部長”と呼ぶ際の毒っ気と茶目っ気の絶妙なバランス感。そして、長倉和平(中井貴一)とのテンポ感の軽快な言い合い……。キャリアも長く、役者としての実績も折り紙付き。それなのにも関わらず、相変わらず良い意味で親近感があるのはなぜなのだろう。「これぞ小泉今日子!」と思わず膝を打ちたくなるような瞬間があったのは、きっと筆者だけではないと思う。

 たしかに、千明としては変わった部分もある。

 特にわかりやすいのは、見た目の変化。白髪を生かしたヘアスタイルに挑戦した姿は吉野千明としても大きな転機だったと言えるだろう。もちろん、自分ができる範囲で等身大のおしゃれを楽しむというスタンスは全くもって変わっていない。

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