坂口憲二、休止期間を経て研ぎ澄まされた“表現力” 『最後から二番目の恋』に映る現在地

坂口といえば、ワイルドなルックスを生かした役柄が多い。特に『池袋ウエストゲートパーク』(TBS系)で演じたドーベルマン山井はインパクトが強く、今でも忘れられない人は多いだろう。その鍛え上げられた肉体と鋭い目つきで山井の凶暴性を直感的に印象付けた。
まごうことなき代表作『医龍 -Team Medical Dragon-』(フジテレビ系)シリーズでは、組織や派閥に囚われず、己の信念に基づいて患者を救う天才外科医・朝田龍太郎を好演。同作が2006年から第4期にわたって放送される人気ドラマとなり得たのは、坂口演じる朝田が魅力的だったからにほかならない。クールで寡黙だが、その場にいるだけで周りを圧倒するようなカリスマ性が観る者を惹きつけた。なお、第2期には内田有紀も出演しているが、どちらも真平、万理子とは全く異なる役柄で、2人の演技の幅には驚かされる。
『恋ノチカラ』(フジテレビ系)で演じた木村壮吾のように、屈強そうな見た目を逆手に取った役柄も。壮吾はヒロインの籐子(深津絵里)が転職するデザイン事務所のクリエイター。愛嬌と包容力を兼ね備えた“大型犬男子“を坂口が演じていた。真平もこちらのパターンであり、坂口が演じるワイルド×癒し系キャラは至高だ。
真平は今作で48歳になり、2児の父となったが、長倉家での立ち位置は変わらない。いつまで経ってもみんなに心配される弟であり、それを裏付けたのが第4話だった。主治医だった門脇(高橋克明)の訃報を知り、再び死の恐怖に直面するも、心配をかけまいと家族にその事実を隠していた真平。だが、彼は案外わかりやすい。顔は笑っていても、心の内にある不安や悲しみが透けて見える繊細な芝居も坂口の魅力だ。結果、すぐにバレてしまい、和平や典子(飯島直子)から愛ある説教を受けるのだが、涙を堪えながら2人の話を受け止める真平が本当に小さな子供に見えて胸を打たれた。

もともと坂口は巧みな演技者だったが、休止期間を経て、表現力は衰えるどころか、さらに研ぎ澄まされているように思う。改めて俳優・坂口憲二の存在感を実感し、復帰してくれたことに感謝の念を抱いた。これからも無理のない範囲で俳優業を続け、自身とともに年を重ねていく真平の人生を見守らせてほしいと願う。
鎌倉を舞台に、テレビ局プロデューサーの主人公と、市役所で働く公務員の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年1月に第1期の連続ドラマ、同年11月にスペシャル版、2014年に第2期が放送され、本作はその続編となる。
■放送情報
『続・続・最後から二番目の恋』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:小泉今日子、中井貴一、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、久保田磨希、松尾諭、佐津川愛美、白本彩奈、広山詞葉、美保純、柴田理恵、浅野和之、渡辺真起子、森口博子、石田ひかり、三浦友和ほか
脚本:岡田惠和
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)、浅野澄美、郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼、高橋由妃、西岡和宏(フジテレビ)
主題歌:浜崎あゆみ「mimosa」(avex trax)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
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