『いつか、ヒーロー』表の顔と裏の顔が違う登場人物たち 桐谷健太と板谷由夏の関係も判明

「表の顔と、裏の顔。誰しもふたつの顔を持つけれど、時に表が裏になり、表が裏になることもあって。自分でもどちらの顔が本物か分からなくなるのが、人間の恐ろしいところなのかもしれない」
ゆかり(長濱ねる)が言っていたように、『いつか、ヒーロー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)に登場するキャラクターたちは、表の顔と裏の顔がまったく違うことが多い。そのなかで、わたしたちは何を信じていけばいいのかーー。
第4話でフィーチャーされたのは、養護施設「希望の道」の卒業生・いぶき(星乃夢奈)。いぶきは、金銭的には娘に苦労をかけているのかもしれないが、しっかり愛を持って育てているものだと思っていた。なので、児童相談所の職員がいぶきと娘を引き裂こうとしているのを見たとき、「何かの勘違いでは……?」と思ったし、「通報があった」というのも、誰かからの嫌がらせだと考えていた。
しかし、「娘を保護してほしい」と児童相談所に通報したのは、ほかの誰でもないいぶきだったのだ。第4話の序盤、いぶきの母親がいぶきに対して、「お前は幸せになんかなれないよ」「お前ひとり幸せになるなんて、絶対に許さないから」と言っている回想シーンがあった。
母親からの虐待や言葉の暴力に苦しんできたいぶきは、同じことはしないだろうと思っていた。しかし、実はいぶきもまったく同じ言葉を娘の沙織(遠藤くるる)にかけていたのだ。これは、いぶきが沙織と楽しそうにしている部分(=表の顔)しか知らない人には、気づけなかったことだと思う。だって、いぶきは沙織の誕生日をとても大事にしていて、お金がないなかプレゼントを用意したり、カレンダーに「産まれてきてくれてありがとう」と書き込んでいたのだから。
「虐待の連鎖って知ってます?」と児童相談所の職員が言っていた。たしかに、“虐待の連鎖”という言葉は存在する。しかし、「子どもに同じことをするかどうかは、切り離していい問題なのではないか?」と個人的には考える。たとえば、親に誕生日さえも教えてもらっていなかったいぶきは、沙織の誕生日を祝うときに「わたしはこんなことしてもらえなかった」と“スイッチ”が入ってしまうらしい。娘を愛おしく思う気持ちはある。でも、長い時間一緒にいると、もうひとりの自分が娘を憎しみだす。
しかし、これは虐待を受けた経験があるすべての人に当てはまるわけではない。親のことを反面教師にして、子どもを大切にしようと考える人も数多く存在すると思う。実際に、わたしの知人のなかには「親にしてもらえなかったことを子どもにしてあげることで、自分のなかのインナーチャイルドが癒されていく」と言っていた人もいた。育ってきた環境は、変えることはできない。だったら、その傷をプラスに変換するか、マイナスの方向に落ちていくしかないのだ。
ずっと頼る人がいなかったいぶきは、マイナスの方向に落ちるしかなかったのだろう。でも、これからは赤山(桐谷健太)たちがそばにいてくれる。そして、ゆかりにかけられた「味方だから。昔なにをして、この先なにをしたって、うちらずっと味方だから」という言葉も、いぶきにとっては心の支えとなってくれるはずだ。いぶきは、今いっぱいいっぱいだっただけ。もう二度と“普通”に戻れないわけじゃない。急がず、ゆっくりゆっくり傷を癒やしていけばいいと思う。そしていつか、また沙織とともに笑って暮らせる日が来ることを願っている。
























