『いつか、ヒーロー』桐谷健太らの熱演による圧倒的“熱量” 初回から謎だらけで考察要素も

「世の中には、夢を手にできるひと握りの人間と、水のなかから夢を仰ぎ見るしかない大勢の人間がいる」
4月6日スタートのドラマ『いつか、ヒーロー』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で、氷室海斗(宮世琉弥)はそう言っていた。
たしかに、わたしもこの世界には、“夢を叶えた人”と“夢を叶えられなかった人”の2種類が存在すると思っている。しかし、“夢を叶えられなかった人”も、“夢を諦めた人”にならない限りは、“夢を叶えた人”になれる可能性がある。それなのに、いつからだろう。生きることに精一杯で、大きな夢を持つことができなくなったのは。
幼いころは、もっと無邪気に夢を語っていた気がする。それこそ、同級生の男子たちは、「ウルトラマンになりたい」「仮面ライダーになりたい」と、いつかヒーローになることを夢見ていたし、その夢が叶うと信じていた。しかし、アラサーになったいま、そんな夢を持っている人なんていない。みんなとにかく自分を守ることに必死で、周りを助ける余裕なんてないのだ。
こんなふうになってしまったのは、大人になってさまざまな現実を知ってしまったからだろうか。
遡ること20年前、赤山誠司(桐谷健太)が働く児童養護施設「希望の道」の校庭では、カンボジアの学校建設を理由に日本を離れることになった赤山の卒業式が行われていた。そこにいた5人の子どもたちはみな、親からの虐待が原因で養護施設に入所し、一度は笑顔を失っていたらしい。しかし、赤山は全身全霊をかけて彼らと向き合い、「5歳までの虐待は、その後の生活で忘れ去らせることができる」と証明したのだ。
赤山は、「人間は、何にでもなれる。お前たちは、俺の夢だ」と言い、5人の子どもたちに将来の夢を語らせた。みんな、「留学して通訳になりたい」「海外リーグのサッカー選手になりたい」「金持ちイケメンと結婚したい」「商社マンになりたい」と無邪気に夢を語り、その夢を「20年後に開こう」と約束をしたタイムカプセルに封じ込めた。しかし20年後、本当の意味でその夢を叶えられた人はひとりもいない。赤山が何者かに頭を殴られ、消息を絶っていた20年の間に、5人は変わり果てた姿になってしまったのだ。

























