『あんぱん』初回は好調な“走り出し” アンパンマンの原点に迫る“ハチキン”な朝!

子供の頃、誰もが大好きだった愛と正義のヒーロー・アンパンマン。その生みの親であるやなせたかしと妻・小松暢の生涯をモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』が放送開始となった。第1話では、主人公2人の出会いとアンパンマンの原点となる出来事が描かれる。
昭和のはじめ頃、道を勢いよく駆けていく8歳の少女がいた。“ハチキンおのぶ”こと、本作のヒロイン・朝田のぶ(永瀬ゆずな)である。ハチキンとは、土佐の言葉で「男勝りの女子」のこと。その日、出張帰りの父・結太郎(加瀬亮)を駅舎まで迎えに行ったのぶは少年とぶつかり、「気を付けや、ボケ!」とチンピラさながらに罵倒する。その相手こそ、のちに夫となる柳井嵩(木村優来)だ。嵩は怒ることもなく、仲良く手を繋いで家に帰るのぶと結太郎の後ろ姿を羨ましそうに眺めていた。

翌日、嵩がのぶの通う小学校に転入してくる。都会育ちというだけでクラスメイトから早速いじめに遭っていた嵩を、のぶは助けてあげた。しかし、「君は本当はいい人なんですね」という嵩の大人顔負けの発言が鼻についたのか、「しゃんしゃん東京にいね(さっさと東京に帰れ!)」と突っ返したのぶ。最悪な出会いから一転、2人の距離が近づく王道のパターンかと思いきや、さらに大きな溝ができてしまった。この正反対な2人がどんな経緯で夫婦となるのか、まだ全然想像ができない。

ただ、のぶは勝ち気だが、優しさも持っている女の子だ。嵩は病気で父を失い、母・登美子(松嶋菜々子)と御免与町で診療所を営む伯父の寛(竹野内豊)を頼って高知にやってきた。そのことを母の羽多子(江口のりこ)から後で聞かされたのぶ。商店街で代々石屋を営む家に生まれ、家族からの愛情を一心に受けて活発に育ったのぶは嵩と境遇も性格も全然違う。けれど、「どんな気持ちながやろ。大好きなお父ちゃん、おらんなって、もう会えんらあて……」と自分の身に置き換えて相手の気持ちを想像することができる。そんなのぶの繊細さと大胆さを、永瀬ゆずなはこの初回の放送で見事に表現してみせた。