『あんぱん』“愛と勇気”の物語がいよいよスタート! “運命”づくしの朝ドラが必見の理由

NHK連続テレビ小説『あんぱん』が、3月31日よりスタートする。
本作は『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった柳井嵩、朝田のぶの人生を描く愛と勇気の物語。ヒロイン・のぶを今田美桜、嵩を北村匠海がそれぞれ演じる。
筆者は先んじて試写にて、第1週「人間なんてさみしいね」を視聴しているが、そこで描かれるのは高知県後免与町を舞台にした、のぶと嵩の運命的な出会い。今田と北村が本格登場するのは第3週からで、朝ドラとしては『ブギウギ』(2023年度後期)以来、子役時期を経ての本役という流れになる。

のぶは三姉妹の長女で、足が速く、男勝り勝ち気な性格から「ハチキンおのぶ」と呼ばれている。一方、後免与町に転校してきた嵩は、気が優しく自信のない性格で、のぶによく助けられることとなる。そこから8年が経っても2人の友情は変わらずに、今田と北村が演じるのぶと嵩へとバトンタッチしていくのだが、物語の地盤を固める役目にある子役の永瀬ゆずな、木村優来の芝居が抜群に上手く、今田、北村と絶妙に似通った雰囲気を纏ってもいる。特筆すべきは、オーディションで選ばれた木村。試写会の後に行われた会見にて、北村本人も「どこを見ているか分からない目線やネガティブともポジティブとも取れない曖昧な表情」を称賛していた。回を重ねる毎に、段々と木村を目で追ってしまうような、不思議な魅力を持っているように感じる。
NHKドラマ・ガイド『連続テレビ小説 あんぱん Part1』の脚本・中園ミホのインタビューを読むと、改めて本作が運命的であり、老若男女、幅広い世代に届けようとする、届く作品であることが伝わってくる。中園が小学生の頃、やなせと文通をしていたというエピソードが第一にあり、そのことを知らずに制作統括の倉崎憲がやなせたかしの著書『ぼくは戦争は大きらい』を取り出したということ。主演としての演技力は当然のこと、暢がモデルだと言われている『アンパンマン』のドキンちゃんに今田が似ていたり、北村の演じる嵩の“へなちょこな感じ”が中園の知っているやなせにそっくりだったり。3月20日に放送された事前番組『もうすぐ連続テレビ小説「あんぱん」』(NHK総合)にて、今田と北村が「やなせスタジオ」を訪問した際、暢の写真が今田に似ているという北村とのやり取りもあり、何か運命めいたものを感じずにはいられない。

やなせと暢は、実際には大人になってから出会っており、ドラマでの2人の幼少期は中園のオリジナルとして書かれているという。そこには中園が生前のやなせから聞いた、「子供の頃によく女の子と遊んでいた」という話がリアリティとしてあるようだ。さらに、物語に登場するどの役にも『アンパンマン』のキャラクターを重ねており、その中でも分かりやすいのが中園の完全な創作キャラクターとなる風来坊のパン職人・屋村草吉(阿部サダヲ)だ。その見た目から、すでに事前番組の放送をきっかけに大きな話題になっているが、「屋村」→「ヤムおじちゃん」→「ジャムおじさん」といったように、傷ついている子供に寄り添ってくれる、優しい心を持った人物である。




















