目黒蓮が“月岡夏”として生きた5カ月間の記録 『海のはじまり』貴重なメイキング映像を解説

『海のはじまり』のディレクターズカット版Blu-ray&DVD-BOXが4月2日に発売される。
『海のはじまり』は、2024年の夏クールに月9(フジテレビ系月曜21時枠)で放送された連続ドラマだ。主演は目黒蓮、プロデューサーは村瀬健 、脚本は生方美久、チーフ演出は風間太樹。大ヒットした恋愛ドラマ『silent』(フジテレビ系)のチームが再結集した本作は、自分に6歳の娘がいることを知った20代の青年の物語。
ある日、印刷会社で働く月岡夏(目黒蓮)の元に大学時代の恋人・南雲水季(古川琴音)の訃報が届く。葬儀の場で夏は、水季の娘・海(泉谷星奈)と出会い、彼女が自分と水季の娘だと、水季の母・朱音(大竹しのぶ)から知らされる。水季から人工妊娠中絶の同意書にサインを求められた夏は、彼女に言われるままにサインをし、その後一方的に別れを告げられた。そのため、水季が海を一人で産んで育てていたことを知らなかった。そんな夏が海と真剣に向き合う姿が本作では描かれる。
夏は相手の意見に真剣に耳を傾ける優しさがある一方、自分の意思を表明することが苦手な青年だ。寡黙で訥々と喋るため、優柔不断で頼りなく見え、周囲の人々から厳しく批判されることも多い。しかし、夏は思慮深く物事を考えており、相手と自分にとって一番いい選択をしようといつも考えて行動する。彼のような寡黙で真面目な青年は世の中には大勢いるが、ドラマの登場人物としてはあまり描かれてこなかった。その意味でとても難しい役柄だったが、夏の中にある相手の気持ちを真摯に受け止める優しさや、強い意思を持っている部分を、目黒が好演していた。
一方、脚本を担当している生方美久は、本作が3本目の連続ドラマとなる。2021年に第33回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞した生方は、プロデューサーの村瀬健に大抜擢され、2022年にオリジナルドラマ『silent』を執筆。目黒がろう者の青年・佐倉想を演じ、登場人物の内面を繊細に描いた静かで優しい物語は、大きな反響を呼んだ。翌2023年に発表した『いちばんすきな花』(フジテレビ系)は、2人組を作るのが苦手な男女4人の物語。繊細な内面描写と複雑な多視点群像劇はさらに洗練され、生方の作家性を証明する作品となった。
そして今回の『海のはじまり』は、生方チームにとっては集大成と言える作品で、『silent』以来の参加となる風間太樹の演出は、より洗練されたものとなっている。

Blu-ray&DVD-BOXの封入特典となる60ページのフォトブックには劇中の場面が多数掲載されているのだが、どのシーンも構図や色味が素晴らしく、写真のように美しい。一方、目黒たち俳優陣の芝居には静かな迫力がみなぎっており、最後まで目が離せなかった。本作はモノローグとナレーションがなく、台詞も最小限の文字数に抑えられていた。だからこそ風景の美しさと役者の芝居が際立っており、映像で語る作品に仕上がっていた。
「この静かで美しい映像はどのように撮られたのか?」と気になっていたのだが、特典DISCに収録されたメイキング映像には、撮影現場の様子と、目黒たち俳優陣のコメントが収められている。





















