『御上先生』ヤマトタケルの正体が判明! 最終回目前で実現した最強タッグ

自らを断罪する言葉の刃に思わず鳥肌が立つ。子どもの未来を狂わせてしまった母親の後悔が苑子と冴島にはあって、心の叫びが伝わってくるようである。冴島や御上が生徒と向き合うとき、必ず本人の方を向いている。それと対照的なのが古代(北村一輝)や塚田(及川光博)だ。教育の理想を掲げながら制度の隙間を突こうとする彼らは1対1の対面で話さない。人を介して、あるいは通話で交わされる言葉は何かのサインであり、駆け引きの道具である。そこでは官僚もコマの一つにすぎないことは以前にも指摘した。
古代と塚田は槙野(岡田将生)と溝端(迫田孝也)を切り捨て、代わりに御上に溝端の代わりを担わせることを決める。しかし、それは私学助成を盛り込む予算要求の期限が迫っていることを計算に入れた御上の予想どおりだった。そして、このタイミングで、たび重なるファックスの送り主「ヤマトタケル(倭建命)」の正体が判明する。御上が古代との距離を縮め、是枝(吉岡里帆)が溝端にゆさぶりをかける。結果的にヤマトタケルこと槙野は、組織の拘束が外れて自由に動くことができる。
相手を出し抜く後だしジャンケンの是非は3年2組で議論してほしいところだが、ヤマトタケルの正体はネットでの考察や待望論を含めて作中でも徴候があった。亡くなった同期の墓参りに行ったり、津吹(櫻井海音)を心配する描写は槙野の人間性を示唆していた。槙野の最終的な変心のサインが、手術を控えて妻が出産間近の津吹のために半休を取ったことである。
嫌な奴かつ面従腹背の官僚を演じきった岡田将生に、してやられたという思いと同時に、最終回目前で結成された最強タッグに期待を抑えることができない。蝶の羽ばたきは水面下で静かに広がり、しかるべきタイミングで一気に表面化する。娘の決意に動かされた冴島が神崎に託したデータには、不正入学の決定的な証拠が保存されていた。バタフライエフェクトの影響からは生徒たちも逃れられない。正義だけで割りきれない現実に、御上と生徒たちはどんな答えを出すだろうか。
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/