2025年も韓国映画がアツい! 『コメント部隊』『リボルバー』『ケナは韓国が嫌いで』を紹介
2024年は『密輸 1970』や『ソウルの春』、『破墓 パミョ』などの韓国映画が日本でも公開されたが、2025年も注目の韓国映画が公開される。本稿ではその中でも特に期待の3作品についてレビューしたい。
『コメント部隊』
2月14日公開『コメント部隊』は、韓国の国家情報院による世論操作事件を題材にしたチャン・ガンミョンの小説を、『誠実な国のアリス』のアン・グクチンが映画化したものだ。
主演はソン・ソック。『犯罪都市 THE ROUNDUP』で、マ・ドンソク相手に凶悪なヴィランを演じたり、『私の解放日誌』のク氏という謎多きキャラクターを演じてきたソック。今回、彼は、その2作ともまったく違った社会部の新聞記者・イム・サンジンを演じている。
イム・サンジンはある日、大企業である「マンジョン」の不正に関する記事を書くが、その記事が誤報であるとされ、停職処分となる。しかし、そんなある日、彼の元にネット世論を操るコメント部隊「チームアレブ」のメンバーだという人物から連絡が来る。これまでに、映画の評点を操作したりしてきた「チームアレブ」は、お金さえ払えば真実を嘘に、嘘を真実にすることができると言うが……。
次々と事件が起こり、また、SNSやオンラインコミュニティのようなサイバー空間で起こる出来事が現実のことのように感じられるため、ひとときも飽きさせない映画となっていた。どこか余韻が感じられる終わり方なのは、このようなサイバー空間の攻防は、今後も現実世界でもどんどんエスカレートしていくかもしれず、まだまだその渦中だからかもしれない。
『リボルバー』
2月28日から公開の『リボルバー』は、2007年に『シークレット・サンシャイン』でカンヌ国際映画祭女優賞を受賞したチョン・ドヨン主演の韓国ノワールだ。監督は『無頼漢 渇いた罪』のオ・スンウク。チョン・ドヨンとは再びのタッグとなった。
『無頼漢』では、チョン・ドヨン演じる女性が、キム・ナムギル演じる刑事との危うい関係性を演じていたが、今回もチョン・ドヨンは、イ・ジョンジェやチ・チャンウクなどと、ヒリヒリとした関係性を見せる。
イ・ジョンジェは『新しき世界』で、チ・チャンウクはドラマ『最悪の悪』でノワールの顔となったが、実は両作品と『無頼漢』『リボルバー』は、同じ制作プロダクションのサナイ・ピクチャーが手掛けた作品。それだけに、韓国ノワールファンにも満足の一本となりそうだ。
そんな中、注目したいのは、この映画が女性たちのノワールだということだ。罪を背負わされ復讐に燃えるチョン・ドヨン演じる元刑事のスヨン。そんな彼女に興味を持ち近づく女・ユンソン(イム・ジヨン)は果たしてスヨンの敵なのか味方なのか……。また、『名もなき野良犬の輪舞』で非情な警察のチーム長を演じたチョン・ヘジンも重要な役で出演している。
チョン・ドヨンはビョン・ソンヒョン監督の『キル・ボクスン』でもアクションノワールに挑戦したところだが、韓国ノワールは、女性に焦点を当てるターンに来ていることを感じる一作だ。