『愛の不時着』好き若手ライターが『シュリ デジタルリマスター』を観た 幻の傑作に大興奮

若手ライターが幻の傑作『シュリ』を観てみた

 本国では1999年、日本では2000年に公開された韓国映画『シュリ』が、『シュリ デジタルリマスター』として4Kデジタル化され、9月13日より公開される。

 平成初期生まれで、当時の韓国ドラマに関する知識といえば「小さい頃に『冬のソナタ』がすごく流行っていて、ペ・ヨンジュンとチェ・ジウの名前と顔は覚えたなあ」程度の筆者。でも、『シュリ』は公開当初から話題になった作品だったことは覚えており、その後もこの作品の凄さや大人の韓流好きにとっては“原点”であることなどを何度も耳にした。近年の韓国ドラマブームの再来で、『愛の不時着』、『梨泰院クラス』、『イカゲーム』など話題作を観るようにはなったが、『シュリ』は配信などになかったこともあり、「いつかは観たい」という思いを抱えたまま、観ることができないでいた。

 そんな中、ついにこの“幻の傑作”を観る時が来た。

 近年の「傑作のデジタルリマスターブーム」に乗って『シュリ』が「きれいにデジタル化されて劇場で公開される」ということで試写の機会をいただいたのである。なお、試写前の本作のストーリーに関する知識は「『愛の不時着』のように、韓国側と北朝鮮側の恋を切なく描いたアクション映画である」ということである。

 『愛の不時着』のヒロイン、ユン・セリ(ソン・イェジン)の勝ち気で天真爛漫、なのにスマートというところが好きだった筆者は、『シュリ』のヒロインはどんな女性なのかワクワクしながら試写に臨んだ。だが作品は、ヒリヒリするような緊張感に満ちた北朝鮮側の訓練からスタート。のんびりと構えていただけに、予想をはるかに超えるただならぬ雰囲気に、すぐに認識を改めた。アクション映画といいつつ、恋愛のほうが濃厚に描かれている作品は多いのであまり気にしていなかったが、これは確かに“アクション映画”の雰囲気。しかも、北朝鮮側で訓練に合格し“出征”していったのは女性である。「20年以上前の作品だからストーリーは王道なんだろうな」となんとなく予想していた流れが、冒頭10分もしないうちに全て裏切られた。これは気を抜いていたら置いていかれてしまう。

 と思いきや、場面が韓国情報部の室長ユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)とイ・ジャンギル(ソン・ガンホ)が暇そうにお茶をしているところへと切り替わる。一転して平和そうだが、話している内容は2人が捜査している連続要人暗殺事件の犯人で、北朝鮮の女性工作員イ・バンヒについて。不穏だがちょっとほっとして肩の力を抜くと、それを見透かされたように突然銃撃戦が開始。やっぱり気を抜いてはいけないようだ。

 今や“イケおじ”俳優といわれるであろうソン・ガンホ、ハン・ソッキュ、チェ・ミンシクらは、若くてもやっぱりカッコいい。しかもそんな彼らが国を守るため、仲間を守るために情熱的にアクションしまくるのだ。魅力的でないはずがない。それに会話がなく、銃声と緊迫した息遣い、覚悟を決めたような表情が捉えられる場面が多く、しかも長い。多くの韓国人俳優が入隊し銃を実際に扱うことがあるためか、銃を撃つその瞬間の緊張感まで含めて、銃アクションの迫力が半端ない。

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