『西園寺さんは家事をしない』松本若菜と松村北斗が“偽家族生活”へ 縮まる2人の距離感
「家族でもない人にそこまで甘えるのは変です」
ひょんなことから始まった西園寺一妃(松本若菜)と楠見俊直(松村北斗/SixTONES)親子の共同生活だが、楠見は何かと理由をつけて線引きする。他人と暮らし始めた当初に必要になる微調整や譲り合いの煩わしさや気疲れと、ペースが確立されるまでのすり合わせの過程や距離感が描かれた『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)第2話。
“家事ゼロハウス”という自分の城を手に入れた西園寺さんだが、壁1枚隔てた賃貸物件で生活するルカ(倉田瑛茉)は朝から元気いっぱい。保護犬のリキとも遊びたがり、西園寺さんが大切にしているパーソナルスペースはどんどん浸食されていく。
洗濯機を持たない楠見が、寝静まったルカをおんぶしながら、コインランドリーで洗濯し、それが完了するまでの間にノートPCを開いて仕事しようとする姿を目の当たりにしてからは、洗濯機も共同で使うことになる。これまでドラム缶洗濯機をある意味タンスやクローゼット代わりに使っていた西園寺さんの“ドラムから直接洗濯物バババ生活”は、これにてあえなく終了。他人と一緒に暮らすということは、確かに自分一人の時には好き勝手できていた自由や気楽さを手放すことでもあるだろう。また、楠見側からしても、何もかも自身の計画通りに進めようとすることを諦め、時に周囲に頼り、甘え、完璧ではない自分を許容するタフさや柔軟性が求められる。
しかし、それと引き換えに、毎朝洗濯物を回収に来る隣人のピンポンの音に起こされる不自由さとそれゆえの張り合い、安堵感が得られたりもするものだ。また、職場でシングルファザーであることを隠している楠見からすれば、ルカを見守ってくれる大人が自分以外にも増えることは、楠見親子双方の精神衛生にも良いはずだ。
西園寺さんがまとめあげてきた岡田缶詰の案件を完遂するために彼女と楠見が連携し自然と役割分担できていたように、「共同生活」という壮大なプロジェクトにこそ互いの連携は必要不可欠だろう。“家族ではないから”といちいち遠慮したり線引きしたりする“気を遣い返し”をしていては話は何も前に進まない。同じ目的を持つ対等な協業者として手を取り合ってはじめて仕事も形になるように、家事や生活についても同じことが言えるのだろう。互いに分担した役割をこなしてこそ、負い目を感じたり居心地悪くなってしまうことなく均衡なパワーバランスが保て、健全な共同生活が維持できるのだろう。