『虎に翼』はるが寅子に注いだ包み込むような愛情 朝ドラで描かれてきた“母親の死”

『虎に翼』朝ドラで描かれてきた“母親の死”

 一方、ある程度大人になってからの母の死は、自分にできることや、やるべきだったという後悔がいくつも思い浮かぶからこその辛さがある。『ブギウギ』(2023年度後期)のスズ子(趣里)は、母・ツヤ(水川あさみ)が危篤との知らせを受けたが、すでにUGD(梅丸楽劇団)の看板女優となって活躍し、その日も直前に控えていた。スズ子はすぐにツヤのもとへ行くか悩んでいたが、歌手として公演を終えてからツヤと再会。枕元で自分の歌声を披露して最期を看取った。

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 寅子(伊藤沙莉)もはるの最期を感じ、「母に未練がないように」「自分にも後悔がないように」と数日前に出て行ったきりの道男をなんとか探して猪爪家へ連れてきた。それでも看取る間際にいろんな思いが心の中に湧き、子どもに戻ったように駄々をこねてしまっていた寅子に、はるは困った顔をしながらも優しく微笑み、頭を撫でてくれていた。

 「共亜事件」が起きて辛い時でも、戦争で自分の子を亡くした時でも、相手が家族だろうと戦争孤児の道男であろうと、最期の最期まで包み込むような大きな愛を示していたはる。これまで寅子はその愛を存分に受けて育ち甘えていたが、いよいよそうもできなくなってしまった。むしろ少年少女に関わる仕事をしているからこそ、はるのような人になることを目標にするべきなのかもしれない。立場や環境が変われば、人の気持ちも大きく変わる。寅子は今後、どのように変化していくのか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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