『ジュラシック・ワールド』は紛れもない“金ロー映画”だ! 恐竜の大暴れも見逃せない

『ジュラシック・ワールド』は“金ロー映画”

 一方の大人視点を担当するのは、兄弟の叔母でパークの責任者の女性(ブライス・ダラス・ハワード)と、パークで働くタフガイ(クリス・プラット)だ。かつて恋仲になったが、どっちも癖のある性格なので、今の関係は絶賛ギクシャク中。そんな2人がパークの大騒動で共闘していくうちに、徐々に仲良くなっていく過程は、あの優れたラブコメで覚えがちな感覚、程よいムズ痒さを覚えることができるだろう。当時は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年)の大ヒットで株がストップ高になっていたクリス・プラットが直球のアメリカンなヒーローを演じており、これがまた絵に描いたようなアメリカのタフガイで最高だ。劇中の登場人物が「超カッコいい!」と言うのも当然である。ちなみに今なお有名なミームとなった「3匹のラプトルを制止する男」も彼である。

 そして忘れてはいけないのが「死」である。本作は恐竜が大暴れするので、必然的に人がたくさん死ぬ。1作目の『ジュラシック・パーク』でも印象的な死、たとえばトイレのオッサン、サミュエル・L・ジャクソンの腕などなど、ビックリドッキリな死がたくさんあった。今回は直接的に残虐なシーンはないが、インドミナス・レックスにパックンチョ(死語に近いが、ものすごく綺麗にひと口で持っていかれるので、この表現を使いたい)されるオッサンに始まり、壊滅する特殊部隊、必要以上に酷い目に遭う女性、そして特攻! バカ社長! などなど、バラエティ豊かな死が盛りだくさんである。人が死ぬのを笑うのは良くないことだが、面白い死に方をされると笑ってしまうのは仕方がないことだ。いわゆる「ブラックジョーク」に触れる作品としても、本作は理想的と言える。

 もちろん恐竜の大暴れも見逃せない。暴れ回るインドミナスもいいし、人間とラプトルらとの共闘としっぺ返しもスリリングだが、特筆すべきはクライマックスだろう。1993年に恐竜っ子になって、あの恐竜は最強だと脳に植えつけられた世代にとって、夢のような光景が繰り広げられる。是非ともその勇姿を応援してあげてほしい。

 ワクワクして、怖くて、笑えて、カッコよくて、燃えて、最後は「やったぜ!」で終わる。これこそまさにエンターテインメントであり、金ロー映画の理想形の一つである。是非ともテレビの前で見守ってあげてほしい。「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」。そう思えること請け合いだ。

■放送情報
『ジュラシック・ワールド』
日本テレビ系にて、5月17日(金)21:00〜23:09放送 ※放送枠15分拡大
監督:コリン・トレボロウ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、トーマス・タル
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
脚本:リック・ジャッファ&アマンダ・シルヴァー、デレク・コノリー&コリン・トレボロウ
キャラクター原案:マイケル・クライトン
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ヴィンセント・ドノフリオ、ジョン・ハード、ニック・ロビンソン、オマール・シー、B・D・ウォン、イルファン・カーン
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