『岸辺露伴は動かない』「密漁海岸」注目ポイントを解説 「ジャンケン小僧」復習が“ベネ”?

『岸辺露伴』「密漁海岸」注目ポイントを解説

 後半パートとの対比として真っ先に想起したのが「ジャンケン小僧」だ。渡辺監督が『ジョジョの奇妙な冒険』の世界を映像にしたいと思ったきっかけのエピソードであり、露伴と大柳賢(柊木陽太)によるスリリングな会話劇が上質なエンターテインメントとして完成していた「ジャンケン小僧」。対して、「密漁海岸」は相手がアワビということもあり、海に出てからはほぼ会話のない身体的な動きがメインとなる。そういった意味では、第2期の「ザ・ラン」も露伴と橋本陽馬(笠松将)のトレッドミルを使った肉体的な戦いが展開されていたが、「密漁海岸」は水中戦。そこがこのエピソードの最大の山場であり、実写化への最大の難所であったことは想像に難くない。

『岸辺露伴は動かない』の熱狂が帰ってきた 高橋一生×笠松将、実写としての圧倒的な説得力

あの熱狂が帰ってきた。高橋一生が主演を務める『岸辺露伴は動かない』(NHK総合)の新シリーズについてである。  2020年の年…

 海中でのシーンは、水中での撮影チームを新たに迎え入れ、実際の海でのロケと潜水用のダイビングプールで撮影。水深が10メートルはあるプールで、高橋は3メートルから5メートルぐらいの深さまで潜っていたという。『午後LIVE ニュースーン』(NHK総合)でのインタビューでは、3kgはある「おもし」をアワビの裏側に接着剤でみっちりと付け、自身が本当に沈めるかを調整していったことを明かしている。正真正銘、これまでのシリーズの中で最も身体を張った、高橋の身体能力の高さが遺憾無く発揮されているエピソードと言えるだろう。同時に、難易度の高い「密漁海岸」への挑戦には、『ルーヴル』での撮影から生まれた手応えがチームとしての自信に繋がっているというのが一番にあるはずだ。

 ほかにもセリフや音楽においてなど、シリーズの積み重ねとして感じるポイントはまだまだある。放送を前に今言えることは、原作エピソードを読み、第3期の再放送と『ルーヴル』を観て「密漁海岸」に備えるのが「ベネ(良し)」ということだ。

■放送情報
『岸辺露伴は動かない』第9話「密漁海岸」
NHK総合にて、5月10日(金)22:00〜23:00放送
NHK BSP4Kにて、5月5日(日)13:00~14:00 ※先行放送
出演:高橋一生、飯豊まりえ、蓮佛美沙子、Alfredo Chiarenzaほか
原作:荒木飛呂彦
脚本:渡辺一貴
脚本協力:小林靖子
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修:柘植伊佐夫
演出:渡辺一貴
制作・著作:NHK、NHK エンタープライズ、ピクス
写真提供=NHK

映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』
NHK総合にて、5月6日(月・祝)15:55~17:54放送
出演:高橋一生、飯豊まりえ、長尾謙杜、安藤政信、美波、木村文乃
原作:荒木飛呂彦『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)
監督:渡辺一貴
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修・衣装デザイン:柘植伊佐夫
製作:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース、NHK エンタープライズ、P.I.C.S.
©2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 ©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

『岸辺露伴は動かない』第7話「ホットサマー・マーサ」第8話「ジャンケン小僧」(再放送)
NHK総合にて、5月5日(日・祝)16:10~17:58放送
出演:高橋一生、飯豊まりえ、古川琴音(第7話ゲスト)、柊木陽太(第8話ゲスト)

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