『アンチヒーロー』“明墨”長谷川博己の本心とは? サイコパスのような知能犯ぶりに騒然

『アンチヒーロー』明墨の知能犯ぶりに騒然

 刑事弁護人は、依頼人である被告人のために全力を尽くす。それによって死刑が無期懲役になり、懲役に執行猶予がつく。力及ばず、前科を背負わせてしまうこともある。明墨が言うように、弁護は人の一生を左右する責任重大な仕事であり、弁護士は職務規程によって遵守すべき行動規範が定められている。依頼人の違法な行為を助長してはならず、そうなった場合には信頼関係が失われたとして辞任することができる。

 明墨という人間の底知れなさに震えた。赤峰は松永の事件を再審に持ち込むため明墨の事務所に入った。敵である正一郎の担当弁護士から手法を盗もうとする大胆な考えだ。明墨はそのことを承知し、あえて赤峰に正一郎の事件を担当させた。

 明墨の活動は、当初は正一郎を無罪にすることが目標だったが、赤峰が犯行当日のドライブレコーダーの映像にたどり着いたことを知ってからは、正一郎が有罪になる事態に備えたと思われる。明墨が赤峰たちに見せた映像は犯行が行われる前の時点で、緑川が法廷で示した映像は犯行後の時刻だった。明墨は映像の時刻を改ざんしたことになる。それだけではない。明墨に証拠隠滅をほのめかされた富田は、秘書をトラックを所有する企業に向かわせたが、これは罠だった。隠ぺいの証拠をつかんだ検察は、正一郎の有罪に加えて、富田を権力の座から引きずり下ろすことに成功した。

 法廷で何も知らなかったと主張する明墨の見え透いた芝居に、赤峰や紫ノ宮は唖然とする。明墨は辞任するタイミングを測っており、不利な形勢を悟って、隠ぺいの事実を富田たちに押し付けたように見える。同時に赤峰の目的達成を手助けした。依頼人を守るためならどんな手も使うが、自らに危険が及ぶことはしない。狡猾な知能犯ぶりはサイコパスのようだが、そうまでして守ろうとするものは何なのか。迷宮のように入り組んだ向こう側に明墨の本心はある。

■放送情報
日曜劇場『アンチヒーロー』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:長谷川博己、北村匠海、堀田真由、大島優子、木村佳乃、野村萬斎
プロデューサー:飯田和孝、大形美佑葵
演出:田中健太、宮崎陽平、嶋田広野
脚本:山本奈奈、李正美、宮本勇人、福田哲平
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/antihero_tbs/
公式X(旧Twitter):@antihero_tbs
公式Instagram:@antihero_tbs
公式TikTok:@antihero_tbs

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