北村匠海が“ベストなバランス”で成立させる『アンチヒーロー』 赤峰は視聴者の“目”となる

俳優・北村匠海の“ベストなバランス”

「正義ってなんだろうねえ」。

 日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)で長谷川博己演じる弁護士・明墨正樹の投げる言葉が、こちらを揺さぶって来る。彼自身が何を考えているのかは、まだ見えてこないが、第2話の終盤で、北村匠海演じる赤峰柊斗と共に、「正義とは?」という大きなテーマを投げられた。先日、今田美桜が主演を務める2025年度前期のNHK連続テレビ小説『あんぱん』にて、やなせたかしをモデルとした役を演じると発表されたばかりの北村。『アンチヒーロー』での赤峰も、26歳にしてキャリア十分の北村だからこそ担える重要なキャラクターである。

26歳にして俳優キャリア16年を超える北村匠海

アンチヒーロー

 明墨が半年前に晴らしたえん罪事件を知って、明墨法律事務所に入った赤峰。事務所には、明墨以外に3人のメンバーがいる。堀田真由の演じる弁護士・紫ノ宮飛鳥。大島優子演じるパラリーガル・白木凛、林康文演じる同じくパラリーガル・青山憲治。そこに赤峰が加わった。

 第1話と第2話は被疑者・緋山役の岩田剛典、第一発見者・尾形役の一ノ瀬ワタル、医学教室教授・中島役の谷田歩、助教・水ト役の内村遥らの出演により「町工場、社長殺人事件」が描かれた。そこで赤峰は、明墨の「潰すんだよ。検察が出してくる証拠を握りつぶせばいいんだ」という、文字通り手段を問わずに潰していくやり方を、身をもって知っていく。

 北村は1997年生まれの26歳。DISH//のリーダーとしても活躍。音楽にあまり関心のない人であっても、2020年の「THE FIRST TAKE」での北村による「猫」の歌唱は知っている人が多いのではないだろうか。俳優としては、2008年に『DIVE!!』で映画デビュー。池松壮亮の幼年時代を演じた。翌年には『太陽と海の教室』(フジテレビ系)でドラマ初出演を果たす。

 2011年にはギャラクシー賞を受賞するなど、高い評価と話題を集めたドラマ『鈴木先生』(テレビ東京系)にて長谷川と、先生と生徒という立場で共演している。その後、ポイント的な登場ながら十分なインパクトを残した『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)や、新田真剣佑、村上虹郎、仲野太賀らとの共演で相性の良さを見せた『仰げば尊し』(TBS系)などで順調に作品を重ねていった。なかでも評価を上げたのが、2017年公開の浜辺美波とのW主演作『君の膵臓をたべたい』。後半の泣きのシーンは忘れられない。翌年放送のドラマ『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)では、力を抜いた演技が印象的で、当時二十歳になったばかりながら、一気に巧さを感じさせた。

北村匠海が向き合った“転機”と“決断” 「自分が一番没頭できるのがお芝居と音楽」

昨年、『君の膵臓をたべたい』で映画初主演を務め、『恋と嘘』、『勝手にふるえてろ』など立て続けに映画出演が続いた北村匠海。DISH…

 近年の主な作品にドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)、『ナイト・ドクター』(フジテレビ系)、『星降る夜に』(テレビ朝日系)、『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』、『とんかつDJアゲ太郎』、『アンダードッグ』、『東京リベンジャーズ』シリーズ、『スクロール』、Netflixシリーズ『幽☆遊☆白書』、劇場アニメ『かがみの孤城』など。実に多くの、しかもコメディからアクション、繊細な青春ものと、本当に多岐にわたる役を演じていることが分かる。そして2025年には冒頭にも挙げた『あんぱん』が控える。

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