『ブギウギ』小雪の起用理由は“母性” 制作統括も驚いた“押しの強いおかあちゃん”ぶり

『ブギウギ』小雪の起用理由は“母性”

 NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

 スズ子と愛助(水上恒司)の恋が熱を帯びるなか、第59回では小雪演じる愛助の母・村山トミが本格登場。村山興業の社長であるトミは、女手一つで日本を代表する興行会社へ成長させた関西の女傑。画面に姿を現すなり、その“ラスボス感”に圧倒されてしまうが、制作統括の福岡利武がキャスティングする上で重視したのは、あくまで“母性”だったという。

「スズ子の好きな人の母であり、大きな会社の社長。さらには息子への愛がすごく強くて、『しっかりと育てたい』という思いがある母役をどうしようかなと。そんなときに小雪さんが出演されている映画を見て、とても母性あふれるお芝居をされていて感動したんです。トミはあまりにラスボス感が出すぎて敵に見えてしまうのは嫌だったので、“大きな母性がゆえにそうさせる”といったところを表現したいなと思って、小雪さんにお願いしました」

 方言に不安があった小雪は、オファーを受ける決断をする前に、まずは大阪弁を練習するところからスタートしたという。福岡は「やはり言葉が難しく、母性も含めて『感情的な表現をしようとすると、どうしても大阪言葉が出てこない』とおっしゃっていました。本当に悩まれた上で『やります』とお返事をいただけましたが、そこから何度もセリフの練習を繰り返して、撮影に臨まれていました」と振り返る。

 一方で、「衣装部が非常に仕立てのいい着物を選びまして、さらには髪型などもセットしたところ、完璧にラスボスが出来上がってしまいました(笑)」とも。「お着物も、昭和の日本髪もよくお似合いで、ものすごい存在感ですよね。ご本人は難しいとおっしゃっていましたが、大阪弁がとても達者で、予想以上に“押しの強いおかあちゃん”ができたので私自身も驚きました。坂口役の黒田(有)さんも『すごく怖い』と言っていました(笑)」

 現場では、愛助演じる水上のことを「本当の息子みたい」とかわいがっていたそうで、「小雪さんからもたくさん話しかけて、いろいろとお話されていました。『どこで何を食べた』とか、『大阪のお好み焼きは美味しい』とか、食べ物の話をしていましたね」とほほえましい親子のやり取りを明かす。

 一方、「趣里さんについては『小さな体で魅せるパワフルなステージが本当に素晴らしい』とおっしゃっていました。お互いに方言の苦労話をされることはありましたが、シビアな表情で対峙しなければいけない場面があったので、小雪さんとしても(撮影の合間に)あまり趣里さんの方に行かないほうがいいのではないかと、少し気を使われていたのかもしれません」と2人の距離感を語り、「趣里さんもストレスなくお芝居されていて、現場の雰囲気もすごく自然でした。お互いに言葉を交わさずとも、お芝居の“間”が整っていくような感じだったのではないでしょうか」と分析した。

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