『ゼイチョー』饗庭らが辿り着いた奥林の飛び降りの真相 相楽が副市長になった本当の理由

『ゼイチョー』奥林の飛び降りの真相

 みゆきの市と相楽グループの根深い関わりが明かされ、そしてそれは饗庭(菊池風磨)と副市長・相楽(本郷奏多)の財務省時代の同期・奥林(結木滉星)の飛び降りの理由にまで関与していることがわかった『ゼイチョー〜「払えない」にはワケがある〜』(日本テレビ系)第9話。

 「徴税禁止リスト」の存在によって不正に免税されている金額は年間50億にものぼる。そこまで巨額の未納があればみゆきの市の財政は大混乱するはずで、地方交付税でも穴埋めできない程の損失になる。しかし、そんな混乱とは全く無縁などころか、市長の米田(佐戸井けん太)も相楽グループには頭が上がらない様子。不審に思った饗庭は、この税金未収分を補うためにより多くの地方交付税がみゆきの市に交付されていると考え、そしてきっとそれには国への影響力も大きい相楽の父親で相楽グループ会長・耕史郎(板尾創路)が関わっているのだろうと睨む。さらに、国側の人間としてこの地方交付税の不正に関与させられていた人物こそが奥林だったのだろうと、彼の日記から確信を持つ。

 今話で明かされたのはそれだけでない。相楽が副市長としてみゆきの市にやってきた本当の理由が明らかになる。彼は父親の利権を引き継ぎ守るために副市長に就任したのではなく、奥林のためにも父親の不正を正すために敢えてこのポシジョンを得たのだった。「徴税禁止リスト」に記載されていた相楽グループの中枢企業であるサガラトノサキ製作所を敢えてリストから外し、饗庭と百目鬼(山田杏奈)らにこの街が抱える闇の深部を暴かせようとしたのだろう。相楽の指示の下動いている徴税第一係長・日比野(石田ひかり)は彼の真意を知っているのだろうか。

 また、残酷なまでに“悪意なき民意”が長いものに巻かれ、権力者側の都合のいいように利用されるという切なすぎる様子も描かれた。「みゆきの市に“相楽”あり」と豪語しながらみゆきの商店街の復活を願う人々は、相楽グループと共存共栄で発展してきたかつての“良かった時代”の再来を心の拠り所にしすぎている。守りたいものがあるのは素晴らしいことだが、時代がこれだけ変化している中過去にばかり目を向け変化を拒み続ける姿勢はあまりに他力本願で、その水面下で実は権力者側が進めている計画に一切気づけないものなのだろう。みゆきの商店街の一帯に相楽グループがショッピングセンターを作ろうとしている計画があることを突き止めた饗庭と浜村(白洲迅)は、相楽グループには頼らない商店街の再出発の道を提示した。クラウドファンディング活用や、親族だけに閉じない事業承継、若者の移住支援など新しい風が商店街にももたらされそうだ。みゆきの商店街にとっての相楽グループのように、やはり依存先が一つに限定されてしまうと歪な共依存関係が築かれてしまうものだ。だからこそ協業先を複数に分けることは健全な組織運営に繋がるのだと改めて思わされた。

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