『マイホームヒーロー』再現度の異常な高さが話題に 佐々木蔵之介らが導く“その先”

『マイホームヒーロー』が提示する再現度の先

 初回からハードな展開が繰り広げられ、多くの視聴者に驚きをもたらしている『マイホームヒーロー』(MBS/TBS)。いくら深夜帯に放送されるドラマとはいえ、かなり攻めているのではないだろうか。第3話では主人公の中年男が半グレの青年から拷問されるなど、原作であるマンガを読んでいない方にとっては刺激が強かったはずだ。

 しかし、原作ファンの身からすると、「うむうむ」と頷かずにはいられない。そうなのだ。本作は原作マンガからの再現度が異常に高いのである。

 原作・山川直輝、作画・朝基まさしによるマンガ『マイホームヒーロー』は、ごく平凡な男が半グレ組織との攻防戦を繰り広げていく作品だ。主人公である鳥栖哲雄は愛する妻や娘と平穏な日々を過ごしていたが、ある日、娘の零花の顔に殴打された痕を発見する。思いがけずその加害者と遭遇した哲雄は、止むに止まれぬ状況から殺害してしまった。相手は半グレ組織の上層部の人間の大切なひとり息子である。こうして哲雄は妻・歌仙の力を借りながら、推理小説マニアとして培ってきた豊富な知識を武器に、危険な男たちと渡り合っていくことになったのだ。

 はじめて原作を手にしたとき、いずれ実写化されるだろうと思った。ハードな描写は多々あるが、かといってそんなに大掛かりなものではない。現代の技術で工夫すればどうにだってなるだろう。それよりも本作は設定がユニークだ。推理小説の知識を武器にして半グレたちと戦うだなんて、じつに痛快である。この意外性は映画やドラマといった実写作品と相性がいいだろうと思った。そして何より、主人公・鳥栖哲雄とその妻・歌仙の役として、佐々木蔵之介と木村多江の姿が浮かんだのだ。周知のとおり、実際にキャスティングされているふたりである。

 「原作のキャラクターと見た目の印象が近い」というだけでキャスティングするのは浅はかだ。俳優の持つポテンシャルと演じるキャラクターとが化学反応を起こしてこそ、実写化の意義は生まれる。たしかに佐々木も木村もどことなく原作のキャラクターと似ているように思うが、筆者が「このふたりだ!」と感じた理由はそれだけではない。

 第3話までの時点で、すでにこの夫婦に違和感を覚えている方はどれくらいいるだろうか。鳥栖夫婦からは激しい焦りや緊張が感じられるものの、思いのほか苦しい状況に適応していやしないだろうか……。今回のドラマ化でどこまで描かれるのかは分からないが、鳥栖家はちょっと変わっている。このごく平凡な夫婦が、なぜこうも危機的状況に対応できたのか。その理由の一端はしばらく先の展開で明かされ(ドラマではたどり着かないかもしれない)、半グレ組織が近づいてきた目的もここにあるのだと判明する。

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