『マイホームヒーロー』再現度の異常な高さが話題に 佐々木蔵之介らが導く“その先”

『マイホームヒーロー』が提示する再現度の先

 佐々木も木村も、百戦錬磨のプレイヤーだ。主役を務めもすれば脇役として作品を支える側に回ることもあり、特定のジャンルに囚われることなく、さまざまなタイプのキャラクターをモノにしてきた。そして両者ともに、一筋縄ではいかない役どころを担う機会の多い俳優である。

 たとえば佐々木なら、銀行が舞台の映画『シャイロックの子供たち』(2023年)で演じていた後ろ暗いところのある検査部の男の役が記憶に新しいし、『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)では自身の地位を守るため部下を毒殺する男を演じていた。木村なら、やはり近年だと『あなたの番です』(日本テレビ系)での怪演ぶりが強烈だっただろう。次々に殺人事件が起こるマンションを舞台とした作品で、絶妙な怪しさを秘めた女性を彼女は演じていた。いずれも、“何かある”キャラクターたちである。

 『マイホームヒーロー』の鳥栖夫婦にも“何かある”のだから、いくら外面的な部分の再現度が高かろうが、“何かある”と視聴者に感じさせる内面的な部分まで表現できなければ、この役は成立しない。平凡な夫婦が半グレと対立する構図と設定が面白いだけの作品にとどまってしまうはずだ。実写作品における再現度とは、見た目のことだけではないのだ。

 原作のキャラクターがコマから飛び出してきて動き回ることに関しては、すでにアニメ化で達成している。実写作品の勘所はそこではない。やはり生身の人間が演じることにこそある。生身の人間だからこそ滲ませられる、あの“何かある”感じ。佐々木蔵之介と木村多江という素晴らしい実体を得た鳥栖夫婦は、私たちをどこまで連れて行ってくれるのだろうか。

 2024年の3月に「劇場版」の公開が決まっていることからも、本作に対する製作陣の自信の大きさがうかがえる。鳥栖夫婦の愛娘・零花役の齋藤飛鳥も、半グレのリーダー格を演じる高橋恭平(なにわ男子)もナイスなキャスティングだ。再現度の高さの“その先”を、本作ならば見られそうである。

■放送情報
MBS/TBSドラマイズム『マイホームヒーロー』
MBS/TBS系にて放送中
MBS:毎週火曜24:59〜放送
TBS:毎週火曜25:28~放送
TVer、MBS動画イズムにて、TBS放送後に見逃し配信1週間あり
ディズニープラスにて、見放題独占配信
出演:佐々木蔵之介、高橋恭平(なにわ男子)、齋藤飛鳥、淵上泰史、内藤秀一郎、音尾琢真、吉田栄作(特別出演)、木村多江
原作・漫画:山川直輝、朝基まさし(講談社『週刊ヤングマガジン』連載)
監督:青山貴洋、棚澤孝義、山本大輔、森裕史
脚本:櫻井剛、船橋勧
主題歌:THE ORAL CIGARETTES「YELLOW」(ポニーキャニオン)
音楽:堤博明
制作プロダクション:TBSスパークル、C&I エンタテインメント
製作:ドラマ『マイホームヒーロー』製作委員会・MBS
©山川直輝・朝基まさし/講談社/ドラマ「マイホームヒーロー」製作委員会・MBS
公式サイト:https://www.mbs.jp/mhh_drama/
公式X(Twitter):@mhh_drama_movie
公式:Instagram:@mhh_drama_movie
公式TikTok:@drama_mbs

■公開情報
『映画 マイホームヒーロー』
2024年3月8日(金)より全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画

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