ドラマは配信より地上波の方が先鋭的に? 宮藤官九郎の新作連ドラが描く“旧世代の焦り”
「宮藤さん脚本の『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)はゆとり世代、Z世代の話でしたが、時代に追い抜かれてしまった人たちの戸惑いを描こうという動きが強まっている気がします。そして、それを描く際には配信より地上波テレビの方が向いているという判断があると思います。これはすべての作品に言えることですが、今後は1周まわって配信ドラマよりも地上波ドラマの方が先鋭的になっていくのかもしれません。Netflixなどの配信プラットフォームは、ある程度キャリアのある人を起用し、それまでに成功した方法論をもって作品作りをする傾向にあるため、想定外のものが生まれにくいのが現状で、作家性の強いニッチなテーマを扱った作品を作るのであれば、地上波ドラマの方が相対的に自由度が高いと言えるかもしれません。もちろん、具体的な暴力やエロの描写や乱暴なセリフ対する規制は、地上波の方が厳しいのですが、だからこそ『不適切にもほどがある!』みたいなドラマを作ろうと思ったのではないでしょうか。おそらくコンプライアンスにがんじがらめになっている現代日本こそが本作のテーマで、昭和から令和にタイムスリップする今作の題材において、“昔できたことが今はできなくなっている”ことを描くのであれば、やはり地上波のテレビドラマで描いた方が際立ちますよね。『ゆとりですがなにか』もそうでしたが、宮藤さんにとってはもしかしたら地上波の方が今はやりやすいのかもしれません。そうしたものをうまく笑いにして描いていくことに期待しています」
宮藤は令和のコンプラ社会に対し、どのように笑いに昇華して問いを投げかけるのか。
■放送情報
金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』
TBS系にて、2024年1月スタート 毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:阿部サダヲ、仲里依紗、磯村勇斗、吉田羊
脚本:宮藤官九郎
プロデュース:磯山晶、勝野逸未
演出:金子文紀ほか
編成:河本恭平、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/futekisetsunimohodogaaru/
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