辰巳雄大×浜中文一×小西桜子、菊地健雄監督と作り上げた“1000年”の時間 爆笑の撮影裏も

辰巳雄大×浜中文一×小西桜子が語り合う

 平安時代から現代まで千年を生き抜いた2人の男たちの壮絶な物語を、映画、舞台、漫画で描くプロジェクト作品『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』。10月27日から公開された映画版では、千年の時を駆ける物語の終局・現代が描かれる。記憶喪失だが、不思議な力を持つ草介(辰巳雄大)、男の傍に寄り添い、全てを知る謎の男・光蔭(浜中文一)、輪廻転生して生まれ変わった俳優の卵・舞(小西桜子/人魚の子孫”とわ”役との一人二役)。永き時を経て3人が再び出会ってしまったことで、誰もが予想だにしないラストを迎える。メインキャラクターを演じた辰巳雄大(ふぉ〜ゆ〜)、浜中文一、小西桜子の3人に、撮影の裏側、互いの魅力などを語り合ってもらった。

1000年の物語に映った442年ぶりの月

――それぞれの役を演じる上で意識したことを教えてください。

辰巳雄大(以下、辰巳):草介の記憶が丸々抜けている部分を表現するために、菊地(健雄)監督とは「喋るトーンにちょっとした違和感を持たせよう」と話していました。“1000年生きているうちの100年が抜けている”というのは1人じゃ腑に落ちないところがたくさんありましたけど、撮影前に監督や2人(浜中文一、小西桜子)と話をして、すっきりした状態で現場に臨みました。現在の草介は自分に疑問を持ちながら生きているので、会話に変な“間”があったり、逆に普通であればためらうことをふっと言えたり。そういう“草介っぽさ”は、スクリーンで観たときにも残っているなと思いました。

小西桜子(以下、小西):私の役は後半にとわの人格がどんどん出てくるので、その“差”を大切にしていました。「楽しい」「嬉しい」みたいな感情を持たずに生きてきた舞が、草介や光蔭さんと出会って本来の感情を取り戻していく、という変化を意識しながら演じていました。

浜中文一(以下、浜中):1000年生きている人間って、みなさんお会いになったことありますか?

辰巳:(笑)。もしかしたら、会ってるかもしれないですけどね!

浜中:1000年生きている人の思考や心の動きは、僕らと変わらないのかもしれない。でも、1000年の間にいろんなことがあって、心があるけど無いように見えたり、あまり気持ちが揺れ動くようなことはないんだろうなと思ったので、そこまで色味、カラーがないイメージでやっていく方がいいのかなと。ただ、草介に対する想いは1000年前からずっと変わらないので、そのあたりの“バランスが良いようで悪い”みたいな感じが出せたらいいなと思っていました。

――菊地健雄監督の演出はいかがでしたか?

浜中:監督は、飛行機からスカイダイビングしながら演出する人で……。

辰巳:そうですね……ってごめん、全然ついていけなかったわ。普通にいました、近くに(笑)。

浜中:地上にいました(笑)。

小西:(笑)。

辰巳:監督は、顔合わせのときから「映画はその役のドキュメンタリーだと思っているし、ある種、役者のドキュメンタリーだとも思っている」とおっしゃっていました。もちろん話し合いはしっかりするけど、結果として現場で生まれたものを一番大切にしたいと。撮影に入ってからも、監督が「まだ来そうだな」と感じたときには「今のでOKテイクなんだけど、もう1回撮っていい?」と何回もチャレンジしてくれて。1シーン、1シーン、僕たちの気持ちができるまで待ってくださったので、本当にドキュメンタリー感を大切にされる監督だなと感じました。

小西:私の役は“とわの部分”と“舞の部分”を持っているので、脚本に描かれていないところがたくさんあったんです。でも、それを埋める作業をリハーサルや本読みのときから時間を取ってやってくださったので、ちゃんと一つひとつ納得しながら撮影させていただきました。

浜中:一緒に作ってくれるというか、監督の中に1個描きたい画を持ちつつ、僕らのプランも取り入れてくれる。本当に寄り添って演出をしてくださいました。

――ドキュメンタリーのように撮影する監督とのことですが、特に印象的なシーンはありますか?

辰巳:撮影の順序についても「なるべく順撮りがしたい」という方で、僕の最初の撮影に関しては「絶対にカウンセリングのシーンから撮りたい」とおっしゃっていたと後からスタッフさんに聞きました。実際そのシーンから撮影が始まったので、僕自身もすごく印象に残っていますね。ラストの海のシーンでは、舞と草介の時間をたくさん取ってくれました。監督のこだわりも感じましたし、海の力も借りて、想像以上のシーンになっていると思います。

小西:平安時代の海のシーンを撮影した日は、442年ぶりに惑星食と同時に起こる皆既月食だったんですよね?

辰巳:そうそう。本当はその前に撮る予定だったんですけど、雨の予報でスケジュールが変更になって、映像にも442年ぶりの幻想的な月が使われています。

小西:1000年というすごく長い時間を描いた物語の中に、442年ぶりの月が収められている。あまりに長い時間に想像が及ばない部分があったけど、「この月を442年前に見ている人がいた」と考えたら、ちょっと腑に落ちる感覚がありました。そこに運命的なものを感じて、すごく思い出に残っています。

――3人が海で楽しそうに遊ぶシーンはアドリブですか?

辰巳:アドリブですね。一度、鬼ごっこをしながら「タッチ」って現代語が出ちゃったんですよ。そこから文ちゃんが「お触れ申した!」と言い出して、みんな自然に「はい、お触れ申した!」って(笑)。着物で海に入るという背徳感も感じながら、わちゃわちゃ楽しく撮影しました。

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