高橋一生、“花火”に重なる芝居への思い 『6秒間の軌跡』の現場で感じた“寂しさ”も告白

高橋一生、“花火”に重なる芝居への思い

 深夜帯の放送にもかかわらず、古き良きホームドラマの雰囲気と、丁々発止の会話劇で人気を博した、高橋一生主演、橋爪功、本田翼共演のドラマ『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱』(テレビ朝日系)。その続編となる『6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の2番目の憂鬱』が、共演に宮本茉由を加えパワーアップして帰ってきた。

 本作は、地方都市で代々続く望月煙火店を舞台に花火師親子の不思議な日常を描き出すファンタジーホームコメディ。主演の高橋に続編の見どころや前作の裏話を聞いた。

『6秒間の軌跡』は俳優の素体の魅力が出る現場

――前作の放送から約1年、続編の放送決定を受けての心境を改めてお聞かせください。

高橋一生(以下、高橋):シンプルに「またやるんだ」という感じでした(笑)。きっとヅメさん(※橋爪功)や本田さんも、同じような感想を抱いたんじゃないかなと思います。しかも初回は1時間スペシャルと聞いて驚きました。ただ、前回のクランクアップの時にヅメさんと「もし次があるなら、もうちょっと暖かくなった頃にやりたいね」と話をしていて、本当にその通りになったので、そこは良かったなと。

――それでは、楽しみな気持ちよりも不安の方が大きかったのでしょうか。

高橋:やったらやったで、やっぱり楽しいんです。でも、このドラマはセリフを投げて返ってくるまでのストロークが速射戦くらいの短さ、作りがかなり特殊なんです。そこだけ少し大変なんですが、ヅメさんや本田さんと試行錯誤しながら、少しずつ3人のリズムが構築されていっているような気はしています。

――前作を改めて振り返ってみると、どのような現場でしたか?

高橋:このドラマはワンシーンの台本が15ページくらいあるんです。1日では撮りきれない量を撮っているはずなんですけれど、いつも午前中から撮影が始まって夕方には終わるという。今のドラマや映画にはあまりない、ぶつ切りではなく長回しの撮影スタイルが僕は好きです。しかもほぼワンシチュエーションなので、現場移動も少なく、単純にお芝居の世界に長くいられるというのもありますが、そうすると俳優の素体の魅力が良くも悪くも出ると思うんです。シーズン2に入ってから僕自身も星太郎とより強くリンクするようになってきて、心地よいくたびれはありますが、そういう現場に身を置いているほうが僕はお芝居が楽しいです。

――作品の世界観に自然と入り込めるという点で、普段の役作りとはまた違うところもありそうですね。

高橋:基本は変わらないんですが、この撮影スタイルだと否が応でも生感が出て、やりとりの中で吹き出してしまうこともあるんです。そこをあまりダラダラやってしまうとお芝居ではなくコントになってしまう恐れもあるんですが、どれも役として捉えることができる範囲に抑え込める技量を持っている方ばかりなので、良い意味での生っぽさはありつつもお芝居として成立するバランスの取れた作品になっているのではないかと思います。

――続編の撮影がスタートして、「またこの現場に帰ってきた」という感慨深さがありましたか?

高橋:それが、不思議と1週間くらい前まで撮影していたような気がするんですよ。セットがあまりにもそのままなので、「ついこの間、セットをバラしますって言ってなかった?」というような(笑)。だから続編をやっているというより、11話(※前作は10話で終了)を撮っている感じがしました。

――このドラマを続編から観る方に向けて、高橋さんが思う星太郎の魅力を教えてください。

高橋:星太郎は常にうじうじと悩んでいて、言ってしまえばめんどくさい男です。ですが、僕は基本的に人間はみんなめんどくさい生き物だと思っていて、星太郎はその代表のような男だと思います。たしかに彼は考え方が回りくどくて、「めんどくさ」と親父(橋爪功)や水森さん(本田翼)から集中砲火を受けていますが、よくよく考えたら2人とも大概なのでは?と。水森さんは突然やってきて住み込みで働き始めるし、親父なんて死んで幽霊として出てきていますから(笑)。僕や視聴者の皆さんも含め、本来人間はそういう生き物なのかなと。そんな星太郎のことを「めんどくさ」と言いながらも、どこかで自分と照らし合わせながら観る面白さがこの作品には詰まっていると思います。

――前作から丸玉屋小勝煙火店さんが監修に入られていますが、花火師の皆さんのお仕事ぶりを近くで見ている中で印象に残ったことはありますか?

高橋:花火は基本的に遠くから上げるので、僕たちが至近距離で見ているという状況自体がかなり特殊みたいなんです。その分、緊張はされていましたけれど、すぐに花火の感想を聴けるのが嬉しいとおっしゃっていました。僕自身も花火を上げる側に立つのは初めてだったので、そこから見上げる花火は新鮮でした。直後に燃えカスは降ってくるし、貴重な体験をさせていただいたなと思っています。

――花火を見上げる星太郎の感極まった表情が毎回印象的だったんですが、あれはリアルな反応なんですね。

高橋:距離が近い分、花火が上がったときのみぞおちのあたりにくる衝撃はすごく覚えているので、それがお芝居にも生かされているのかもしれないです。

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