三浦翔平×竜星涼、対照的な芝居が『光る君へ』の魅力に 伊周の泣き顔と隆家の笑顔

『光る君へ』三浦翔平×竜星涼の対照的な芝居

 『光る君へ』(NHK総合)第20回「望みの先に」。内裏では花山院(本郷奏多)の牛車に矢を放った一件で、一条天皇(塩野瑛久)は伊周(三浦翔平)と隆家(竜星涼)に厳しい処分を命じた。兄弟の不祥事によって、定子(高畑充希)もまた内裏を出ることを命じられる。その頃、まひろ(吉高由里子)は、惟規(高杉真宙)やいと(信川清順)とともに為時(岸谷五朗)が淡路守に任命されたことを喜びながらも、宋の言葉を解する父は越前守の方が適任だと考え、ある行動に出る。

 越前守に任命された為時は、自身が官職を得たことは道長(柄本佑)の計らいであり、そのことは「道長様のお前への、思いとしか考えられぬ」とまひろに問いかける。「何も知らずに越前に赴くことはできぬ」という父のまっすぐなまなざしを受け、まひろは道長への思いを正直に打ち明けた。まひろは胸の内を全て語ったわけではないし、これまでもこれからも道長への思いを抑えて生きていくはずだ。だが、まひろの明るい声色に、娘の心に秘めた深い思いを感じ取りつつ、娘の言葉に耳を傾け、受け入れる父・為時の表情が胸を打った。真面目だが型破りな一面もあった父・為時とその娘・まひろの、お互いを尊重し合う親子関係はとても美しく映った。

 為時・まひろ親子の関係性が心に響く中、第20回では、一条天皇から処分を下される伊周と隆家の態度の違いもまた強い印象を残した。

 矢を放った相手が花山院だと分かり、伊周は事の重大さを理解する。母・貴子(板谷由夏)に背中をさすられる伊周が見せた怯えた顔はまるで子どものようだった。三浦翔平が第18回の放送後に公開されたキャストインタビュー動画「君かたり」で予告していた通り、優雅で美しかった伊周の人物像はすっかり崩れている。弟は事態を軽く見ているし、母の励ましはかえって伊周の心の安寧を失わせていく。すっかり弱気になってしまった伊周の心情を、三浦は泣きそうな面持ちや「行かねばよかった」という弱々しい物言いで表した。定子の力を借りようとする貴子に向かい、「中宮様は頼りになりませぬ! 私を関白にすることさえできなかった!」と激しく袖を振りながら泣き喚く姿は、駄々をこねる子どものようだ。

 一方、竜星涼が演じる隆家は矢を放った張本人とは思えないほど悠然と構えている。誰にも見られていないはずと伊周を慰める母の言葉に、隆家は「院の従者もおりましたゆえ、顔は見られています」とさらりと言ってのけた。行かなければよかったと後悔する兄に対しても、「今さら言うな」とあきれ、冷ややかな目で兄を見る。竜星が見せるあまりにも怖いもの知らずな態度はコミカルにも感じられる。

 蔵人頭である斉信(金田哲)から謹慎を言い渡された時も2人は対照的だった。隆家は謹慎と言われた瞬間こそ唖然としていたが、斉信の言葉に耳を傾けている間は落ち着き払っている。しかし伊周はずっと気が気でないような顔で、体もこわばっており、目が泳ぐ様子からはショックの大きさがうかがえた。

 やつれきった伊周に追い打ちをかけるように、詮子(吉田羊)と右大臣である道長を呪詛した疑いがかかる。あらぬ噂を立てられた伊周は道長を頼った。道長に頭を下げる場面での三浦の佇まいには、頼る相手がもう道長しかいない伊周の侘しさと、これまでライバル視していた相手にすがりつくことでプライドが傷つけられていくさまが感じられる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる