向井理が考える人間の複雑さ 「誰しもどこかに“こう見られたい”という欲求がある」

向井理が考える人間の複雑さ

 婚活に励む敏腕探偵を演じた『婚活探偵』(BSテレ東)、現代にタイムスリップした天才軍師を演じた『パリピ孔明』(フジテレビ系)、誰もが知る人気キャラクターを演じた『ハリー・ポッターと呪いの子』など、近年は個性豊かな役柄で人々を魅了している向井理。テレビ東京とWOWOWが初タッグを組んだ『テレビ東京×WOWOW共同製作連続ドラマ ダブルチート 偽りの警官 Season1』では、警察官と詐欺師という2つの顔を持つ主人公・多家良啓介を演じている。そんな向井に、多家良という複雑な役柄の“演じ分け”について話を聞きつつ、自身の“意外な一面”についても語ってもらった。(編集部)【インタビューの最後には、サイン入りチェキプレゼント企画あり】

多家良役は「二面性よりもさらに多い“七面性”ぐらいのイメージ」

――初めて脚本を読んだとき、どのように感じたかを教えてください。

向井理(以下、向井):詐欺師が詐欺師を騙す話というのはこれまでにもあったかもしれません。その中で『ダブルチート』はいい意味で派手さに頼らない作品。詐欺師を騙すためにはどんなキャラクターにしたらいいのか、実際にどういった詐欺があるのかなどが緻密に描かれています。台本を読んだ後に似たような詐欺がニュースになっているのを見て、それだけリアリティのある脚本なのだと思いました。第1話の冒頭に出てきた寸借詐欺も、観光地では本当にあるみたいですし。エンターテインメントではありますが、派手さでごまかさない生々しさがあると思いました。

――おっしゃる通り、描いている詐欺の手口が生々しいですね。これをきっかけに普段のニュースなども気にするようになりましたか?

向井:確かに、以前とは変わりましたね。僕がこの役をいただいたから余計に感じるのかもしれませんが、詐欺はどこかで毎日報道されるくらい身近なものになってきていると思います。特殊詐欺で亡くなった方もいましたし、振り込め詐欺とかオレオレ詐欺とか、意識して見ていると本当にいろんな詐欺があるなと思います。なので『ダブルチート』が、詐欺はそれくらい身近なものだということを感じてもらえる作品になっていればいいかなと。

ーー社会的にもいい影響が生じるかもしれませんね。

向井:詐欺を撲滅するために作ったドラマではないけれど、少しでも未然に防ぐことができれば、それはそれでいい副産物になると思います。とはいえエンターテインメントですから、どういう展開をしていくのか、多家良がなぜ詐欺師になったのかなどにも注目してほしいです。

――詐欺師と警察官という二面性がある役を演じるにあたり、気をつけている部分はありますか?

向井:二面性よりもさらに多い“七面性”ぐらいのイメージでやっています。人間は生きているだけでいろいろな面がある。例えば、仕事だったり、家庭だったり、同僚、上司、いろんな人たちと接する中で、違う言葉遣いや表情になると思うんです。二面性がある役だから2つを使い分けるというよりは、いろんな面を持っている人でもいいと割り切って演じています。毎話ごとに詐欺師役のゲストの方がいるのですが、その詐欺師の欲をかきたてられるキャラクターを演じようと気をつけています。

――詳しく聞かせてください。

向井:詐欺師を騙す詐欺師はどんな人間なのか。どんな話し方をして、どんな職業に就いているのかを作りこんでいくために、衣装や小物などで一から参加しています。他にも、第1話と第2話ではお芝居で距離感を変えました。言い方をちょっと変えるだけで人との距離感が変わってくると思うんですよ。だから、常に違う言い方があるのではないかと考えながら演じていました。そんなこともあって、僕が演じる詐欺師は第1話と第2話とでは全然違うセリフの言い回しになっていたと思います。“演じ分ける”と言ったらおこがましいですけれど、楽しみつつ考えながらやっていました。

――演じる中で難しかった部分はありますか?

向井:詐欺を仕返すところです。やはり専門用語も多いし難しいなと思います。捕まるところまでをきちんと理詰めで描くので、そういうやり方があるんだという驚きはありますね。多家良(啓介)がどう詐欺師をやっつけるのかは、わかりやすく見どころになっていると思います。

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