『ONE DAY』第1話から怒涛の展開 大沢たかおの「レストラン編」が物語のアクセントに

『ONE DAY』第1話から怒涛の展開

 10月9日にスタートしたフジテレビ系列の月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』は、クリスマスの横浜を舞台に、タイトルの通り“1日”の物語を3つの視点から描く群像劇だ。10月になったばかりだというのにもうクリスマスムードが全開であり、特に前クールの月9が夏真っ盛りの作品だったことも加味すれば、劇的なまでの季節の移り変わりの速さを感じずにはいられない。

 12月23日の23時30分。横浜のクリングル号記念公園で目を覚ました勝呂寺誠司(二宮和也)は、目の前に拳銃と、頭部を撃ち抜かれた男の死体があることに気が付く。直後に電話が鳴り、電話口の向こうの謎の男から命じられるままに現場を離れる誠司。その道中でパトカーから逃れるように迷い込んだ老舗レストラン“葵亭”で、シェフの立葵時生(大沢たかお)と鉢合わせ、慌てて逃げ出したはずみで拳銃を落としてしまう。そして誠司を追いかけようとした時生は、先代から伝わるソースの入った寸胴鍋を倒してしまう。その頃、地方テレビ局“横浜テレビ”の看板キャスターである倉内桔梗(中谷美紀)は、クリングル号記念公園の事件を追い始めていた。

 まずはこのドラマを構成する3つのパートから簡潔にまとめていこう。逃亡する誠司と、彼を匿う“犯罪組織アネモネ”のミズキ(中川大志)、誠司の後を尾ける謎の女・柚杏(中村アン)、そして誠司を追う警察によって展開する「逃亡編」。時生を中心に、クリスマスディナーの対応に追われる葵亭の面々を描く「レストラン編」。そして新社長が推し進める番組改編の波に呑まれながら、地元で起きた事件の報道に躍起になる桔梗を中心とした「地方テレビ局編」だ。

 気が付くと隣に死体があり、その場所から立ち去ることで濡れ衣を着せられてしまうというのは逃亡劇における定番の流れだ。そこにワンシチュエーションと決められたアングルを多様化しながらコミカルに登場人物たちの“から騒ぎ”を描く鈴木雅之演出らしさが存分に発揮された「レストラン編」がアクセントとなり、「地方テレビ局編」を通すことで電波に乗って事件が発信されて客観性と群像性が高まる。もちろんこの「地方テレビ局編」においても、PC画面や弁当箱を覗き込むショットで鈴木雅之演出らしい一面が確かに垣間見える。いつも通りの安心感と、いつもとちょっと違うテイストが、クリスマスという季節性も伴ってより特別感のあるものに仕立て上げられていく。

 物語に関与する一通りの登場人物たちを一気に見せていくのは、導入である第1話として当然の流れ。それでも“1日限り”と時間が限られている以上、すでに構築された相関図をたどり、過剰な説明を排除してかなり足速に進められる。ドラマの世界に引き込むにはかえってその方が正解といえよう。なかば偶然の産物のように誠司と時生を引き合わせ(さらにそれによって時生が窮地に立たされる)、時生の物語は娘・査子(福本莉子)を介して桔梗の物語とつながり、そして桔梗は監視カメラに映った誠司の姿に何かを思い出して学生時代の写真を取り出す。もう第1話の時点で、3つの物語はバラバラではなくひとつなぎになっているではないか。

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