『すずめの戸締まり』はおかえり上映で真に完結する 新海誠の“ネタバラシ”で深まる解釈

『すずめの戸締まり』はおかえり上映で完結

 映画『すずめの戸締まり』のBlu-rayおよびDVDの発売を記念して、全国100館で「おかえり上映」が9月20日から開催中。国内外で大ヒットした『すずめの戸締まり』だが、今回の再上映は、過去に作品を観たことのあるファンでも楽しめる特別な仕様となっている。

 特筆すべきは、未使用だった「草太からすずめへの『ただいま』」がラストシーンに追加されている点だろう。詳細についてはぜひ劇場で確かめてほしいため、言及を控えるが、まさにこの演出により物語が真に完結したと感じられるほどだった。しかし、おかえり上映の魅力はそれだけではない。

『すずめの戸締まり』

 おかえり上映では、Blu-ray&DVD全エディションに音声特典として収録される新海誠監督と三木陽子助監督によるオーディオコメンタリーの一部を新たに収録し直し、スマートフォンアプリで楽しむことができる。視聴者は映画を観ながら、副音声で作画や劇伴などの裏話を聞くという贅沢な時間を過ごすことができる。

 とはいえ「副音声なしで作品に集中したい」というファンもいるかと思うが、おかえり上映にせっかく行くのであれば、副音声はぜひ合わせて聴いてほしいところ。各シーンの制作に関わったクリエイターたちの仕事をなぞっていくだけでなく、ファンには喜ばしい小ネタの解説も充実しているからだ。

すずめの戸締まり

 たとえば、あるシーンは『ルパン三世 カリオストロの城』のルパンがクラリスを守るシーンへのオマージュであり、また、新海監督が草太の部屋の背景に“野田洋次郎風”の要素を反映させたりと、まさに作品を複数回視聴したファンに向けた貴重な情報が詰まっている。『君の名は。』や『天気の子』と重なるシーンについての解説もあるため、他の作品とのつながりに気付いたファンは興奮するはず。

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