バスケW杯の大熱狂を生んだ『SLAM DUNK』と「Bリーグ」 日本バスケ界の歩みを振り返る

『スラダン』とBリーグのバスケ界への貢献

 8月31日に行われたバスケW杯の対ベネズエラ戦で、劇的な逆転勝利を収めた男子日本代表。選手や観客たちが喜びを爆発させるなか、解説として呼ばれていた佐々木クリスは想いを述べた。

「いや、ちょっとまだ見たことない景色だったので、今の沖縄アリーナのこの景色も。アリーナの皆さん本当にこの勝利を誇っていいと思いますし、全国の皆さんもね、本当に熱い応援をかけてくれたと思うので、もう、なんか、込み上げるものがありました」

 未だかつて見たことのない景色だった。W杯で日本が格上(FIBAランキング上位)に対して快勝を積み上げていること、満員の客席でサポーターが熱狂していること、そして国民の注目が日本のバスケットボールに集まっているこの盛況ぶりが。

 なぜここまで国内の熱が醸成されたのか。それには2016年より開幕したプロリーグ「B.LEAGUE」の貢献がまず前提にあり、そして2022年12月より上映された『THE FIRST SLAM DUNK』を象徴とする、日本のバスケエンタメの盛り上がりとの交点が2023年のバスケW杯となったのではないか。

映画『THE FIRST SLAM DUNK』PV -THE FIRST-

 日本のバスケの歴史を振り返る上で、何よりも『SLAM DUNK』の存在は外せない。同作は1990年から1996年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されており、その人気は凄まじく、連載が始まるとともに競技者人口はうなぎ上りで増加していった。いまでは多くのバスケ選手が『SLAM DUNK』に影響を受けたと語り、日本人初のNBAプレーヤー・田臥勇太も「小学校5年生に『SLAM DUNK』に出会い、人生が変わった」(※)と発言している。

『THE FIRST SLAM DUNK』は濃密な“試合観戦”だ 原作未読だからこそ体験できた熱狂

「三井がスタメンなのに体力全然なかったのってさ、最近まで不良であんまりバスケやってなかったからなんだよ」  シアターから退場し…

 その後、『SLAM DUNK』の人気を受けてバスケ漫画は数多く誕生していった。その中でも2004年から『週刊少年マガジン』(講談社)で連載された『あひるの空』、2009年から『週刊少年ジャンプ』で連載された『黒子のバスケ』などは一般的な認知度も高く、全国のバスケプレーヤーが親しんだ作品だろう。ちなみに『あひるの空』原作者の日向武史は『SLAM DUNK』の大ファンであることを公言しており、登場キャラクターに「俺もその漫画読んでバスケ始めたんだ」と発言させ、『SLAM DUNK』の単行本もしっかりと描かれている。

 これらはすべてTVアニメ化されており、日本におけるスポーツとしてのバスケ人気を向上させる一助となってきたことは間違いない。

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