『SAKAMOTO DAYS』は島﨑信長が“真骨頂”を出せる作品だ 優しさと鋭さの二面性に注目

2025年の冬アニメシーズンが華々しく幕を開け、各配信プラットフォームのランキングで早くも注目を集めているのが、TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』だ。坂本商店の店主として穏やかな日々を送る元凄腕殺し屋・坂本を杉田智和が体現している。そして、物語の核心で輝きを放つもう一人の主役とも言える人物が、島﨑信長演じる「人の考えていることが読める」青年・朝倉シンだ。

『呪術廻戦』では狂気に取り憑かれた真人を、『ブルーロック』では好奇心に基づいて行動する凪誠士郎を、『ブラッククローバー』では天才魔道士・ユノを、『ワールドトリガー』では生真面目なヒュースを、そして『東京リベンジャーズ』では謎めいた黒川イザナを――島﨑は卓越した演技力で、それぞれ全く異なる魅力を持つキャラクターたちを、その声で見事に描き分けてきた。
透明感と落ち着いた品格を備えた島﨑の声は、『Free!』の七瀬遥や、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』における理想の王子様・山本理央など、印象的な美青年キャラクターたちに確かな魅力を与えてきた。自身が熱心なアニメファンであることを公言する島﨑だからこそ、原作の魅力を損なうことなく、その本質を巧みに表現に昇華させていくことができるのだろう。しかし、その表現力はその柔らかな声質を活かした役どころだけに留まらない。

2016年放送の『斉木楠雄のΨ難』では海藤瞬を鮮やかに演じ切り、そして2024年の秋クールに放送された『村井の恋』では、主人公が心酔する乙女ゲームの理想の彼氏・春夏秋冬を演じている。甘い言葉の数々を絶妙な間合いで紡ぎ出し、現実とフィクションの境界を軽やかに越えていく春夏秋冬は、ギャグ要素の強いかなり振り切ったキャラクター。どちらかというと落ち着いたトーンの役柄で魅せるイメージのある島﨑だが、実は彼の真骨頂は、こうしたコメディ作品にも確かに息づいているのだ。




















