初登場6位と鈍い滑り出しながら『366日』にロングヒットの兆し?

『366日』にロングヒットの兆し?

 1月第2週の動員ランキングは、『グランメゾン・パリ』が週末3日間で動員25万9000人、興収3億8800万円をあげて、公開2週目にして初の首位に立った。1月13日までの15日間の累計動員は158万1000人、累計興収は22億8200万円。最高位2位と動員ランキング的にはあまり目立つことがなかったが、東宝配給のテレビドラマの映画化作品としては先週末8位の『劇場版ドクターX』も既に累計興収30億円超えを果たしていて、今年もテレビドラマの映画化作品が映画興行全体の大きな柱となっていきそうだ。

 3位に初登場したのも東宝配給のテレビドラマの映画化作品。主演の松重豊自身が監督を務めた『劇映画 孤独のグルメ』は、オープニング3日間で動員16万7000人、興収2億4200万円、1月13日までの4日間の累計動員は23万人、累計興収3億3000万円。公開館数は256と、作品の特性(テレビ東京系深夜ドラマの映画化)に応じて公開規模もある程度絞っての興行だったので、十分以上の成功と言えるだろう。

 一方で、過去のテレビドラマの存在が興行の足枷となるケースもある。6位に初登場した、松竹とソニーの共同配給の『366日』はHYが2008年にリリースした楽曲「366日」をモチーフにした、主赤楚衛二と上白石萌歌の共演によるラブストーリー。同タイトル、同モチーフのテレビドラマ『366日』が昨年4月期にフジテレビ系月9枠で放送されたばかりだが、実はキャストも脚本もまったく別の作品となっている。本作の公開に際しては、その「まったく別の作品」ということが周知されきってなかったせいもあってか、オープニング4日間の累計動員が17万8600人、累計興収2億3300万円と、少々鈍い滑り出しとなった。

 ところが、公開されてから主にTikTokを通して若年層に作品の評判が広がっていて、ウィークデイに入ってから公開初日を超える動員を記録しているという。これは同じ松竹配給として一昨年末に公開された『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の際にも見られた現象で、もしかしたら思わぬロングヒットとなるかもしれない。ちなみに、もともとHYの「366日」は、ケータイ小説を原作とするテレビドラマ『赤い糸』、及びその映画版『赤い系』の主題歌として2008年のリリース当時にヒットした曲。ドラマ版はフジテレビ系、映画版は松竹配給というところまで同じ。自分からすると永遠にコスられ続けている曲という印象なのだが、2008年といえば今の10代はまだ生まれたばかり、あるいは下手したら生まれる前のこと。その事実に気づいて、思わず遠い目になってしまった。

■公開情報
『366日』
全国公開中
出演:赤楚衛二、上白石萌歌、中島裕翔、玉城ティナ、稲垣来泉、齋藤潤、溝端淳平(友情出演)、石田ひかり(友情出演)、国仲涼子、杉本哲太ほか
inspired by HY「366日」
監督:新城毅彦
脚本:福田果歩
音楽:日向萌
原作:「366日」物語委員会
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、松竹
製作:映画「366日」製作委員会
©2025映画「366日」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/366movie/
公式X(旧Twitter):@366movie
公式Instagram:@366movie
公式TikTok:@366movie

『今週の映画ランキング』(興行通信社):https://www.kogyotsushin.com/archives/weekend/

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