『べらぼう』生田斗真は“怪物”がよく似合う 仲間由紀恵の一橋治済に匹敵する“怖さ”に期待

生田斗真演じる一橋治済が何やら不気味だ。
NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』第2回で、一橋治済の嫡男・豊千代の誕生を祝う宴席が描かれた。八代将軍・吉宗の後継者対策に端を発して作られた「御三卿」の面々も幕臣たちも表向きは和気あいあいとしている。だが、治済を非難する田安賢丸(寺田心)や、松平武元(石坂浩二)と田沼意次(渡辺謙)のやりとりには緊張感が漂っていた。
もっとも、治済は実直な賢丸の発言を意にも介さない。真正面から治済を見据えて非難する賢丸を「戯れじゃ。そう熱くなられるな」と軽く流し、賢丸が「遊芸におぼるる前に、我らにはなすべきことがあると思われぬか!」と憤れば、思い直すどころか「ん? 子なら、なしたぞ」ととぼけた顔を見せる。

この場では真面目一辺倒な賢丸より、場を盛り上げ、人当たりの良さそうな治済の方が皆に好まれているようだ。しかし、この場にいた人物の中で最も腹黒いのは治済だろう。治済を演じる生田が浮かべた笑みがそれを物語る。
この場面の終わりに、武元は賢丸に感服したと述べながら意次を批判するようなそぶりを見せ、意次はそんな武元に対して如才なく平伏することで牽制する。それを横目で見ていた治済は、滑稽だと言わんばかりにニヤリと笑った。笑みを浮かべる生田の口元には含みがある。豊千代の乳母・大崎(映美くらら)だけが治済の真意を汲むような視線を向けたこともあいまって、不穏な空気が漂った。
『鎌倉殿の13人』源仲章とは何者なのか? 史実を超えた生田斗真の“怪演”と三谷幸喜脚本
第三代将軍・源実朝(柿澤勇人)の後継として、京より後鳥羽上皇(尾上松也)の親王が下向することが、ほぼ内定した。それと同時に、北条…
生田は2022年に放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で源仲章を演じていた。仲章は表の顔と裏の顔を持つ、嫌〜な感じのするキャラクターだった。後鳥羽上皇(尾上松也)の側近である仲章は、第三代将軍・源実朝(柿澤勇人)の前では博識多才な人物といった雰囲気を漂わせるのだが、実際には鎌倉を揺るがす一連の出来事の黒幕だ。仲章の暗躍っぷりはさることながら、仲章を演じる生田の自信に満ち溢れた佇まい、周囲の人間を心の内で見下しながらもその態度を表には一切出さないといった演技を通じて、仲章の人物像にいけ好かなさを覚えた視聴者は少なくないはずだ。
仲章の印象が記憶に新しいからこそ、治済が醸し出す不穏さにワクワクしてしまう。生田はNHK大河ドラマ・ガイド『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~前編』(NHK出版)の中で「『鎌倉殿の13人』では悪役の源仲章を演じてさんざん嫌われ、嫌われることの気持ちよさを知りました(笑)。今作で演じる一橋治済は怪物と呼ばれた人なので、仲章よりもひどい人間かもしれません。皆さんからどんな反応が頂けるのか……楽しみです」とコメント。“仲章よりもひどい人間”という言葉に自ずと期待が高まる。