『らんまん』失意の要潤を支えた中田青渚の言葉 新種発見で交錯する田邊と万太郎の運命

『らんまん』中田青渚の言葉が要潤を支える

 森の遺志を果たせなかったこと。自身が背負って立つこの国の未来。道半ばにして挫折した田邊には植物学が残されていた。聡子の励ましによって立ち直った田邊は、憑き物が落ちたように晴れやかな表情で研究に打ち込む。自ら採集旅行を発案し、一同を連れて四国へ赴く。そこで出会った植物が田邊の運命を変えた。

 『らんまん』は犠牲者を作らない。自然界と同じように人間の世界にも浮き沈みはあって、敗者はいるとしても、望まない誰かに奉仕して不幸になる生き方を本作はあえて描かない。もちろん、現実に誰かの犠牲になる人はいる。それでも、『らんまん』の登場人物は与えられた環境や条件下で懸命に生きようとする。その姿は百花繚乱の草花のようで、そこに作り手の強い意志を感じる。

 万太郎(神木隆之介)の元には全国から次々と植物標本が送られており、その中には高知で出会った虎鉄(寺田心)のものもあった。虎鉄が同定を依頼したその花は、四国の最高峰・石鎚山で見つけたもので、奇しくも田邊が発見したものと同じだった。植物への情熱が万太郎と田邊を引き合わせたように、二人の運命はふたたび交わるだろうか。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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