目黒蓮、“主役”として飛躍のときへ 『トリリオンゲーム』で期待される“器用”な芝居
7月14日からスタートするTBS系の金曜ドラマ『トリリオンゲーム』。『ビッグコミックスペリオール』で連載されている同名漫画を原作に、ハルとガクの正反対なコンビが起業して1兆ドルを稼ぎ、すべてを手に入れるために成り上がっていく姿を描く物語だ。このざっくりしたプロットだけでも、その途方もない向上心と野心にワクワクさせられるではないか。
主人公であるハル役を演じるのは、Snow Manの目黒蓮。グループのなかでもひときわ“俳優”としての活躍ぶりが著しい目黒。どうにも映画やテレビドラマに出ずっぱりのイメージがあるのだが、よくよく振り返ってみれば2021年からの2年半で連ドラが3本、スペシャルドラマが1本、映画が3本と、決してぎゅうぎゅうに詰まっているわけでもない。もちろんその期間にもSnow Manとしての活動があるのだから多忙であることに違いはないが、出演作の数以上に記憶に鮮明に残るタイプの役者なのかもしれない。
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今回の『トリリオンゲーム』は、目黒にとって連ドラ単独初主演作。たしかに、長身によってもたらされる存在感と絶対的な“主人公的オーラ”を持ち合わせているとはいえ、これまでの作品はいわゆる“相手役”ばかり続いていた。それこそ現時点でのいちばんの代表作である『silent』(フジテレビ系)における佐倉想役はドラマの根幹を担う存在でありつつも、複数の登場人物の心情に沿って綴られるエピソードで主だって描かれるのは川口春奈演じる紬からの視点であり、そういった意味で明確に“主人公ではない”と断言できるポジションであった。
それでも、高校卒業後に若年発症型両側性感音難聴を患ったことで徐々に聴力を失い、それまで作り上げてきた人間関係をリセットして生きる青年の苦悩を表現した第1話のクライマックスでの手話シーン。紬や、鈴鹿央士演じる湊斗との再会によってかつての想らしさを取り戻しながら、すべてをリカバーできないことで生じる新たな苦しみを体現していった中盤以降の姿。どちらもドラマ全体にとって主人公以上の大きな働きをしていたといってもいいだろう。