目黒蓮、“主役”として飛躍のときへ 『トリリオンゲーム』で期待される“器用”な芝居

目黒蓮、“主役”として飛躍のときへ

 これまでの出演作で目黒が演じてきた役柄を辿っていけば、概ね大きな括りとして“不器用”な青年であることで共通している。それでも『silent』の想や『消えた初恋』(テレビ朝日系)での井田の持つ不器用さと、県警幹部の親を持ち同じ境遇の同期と恋に落ちる『教場II』(フジテレビ系)での杣や、航空一家で生まれ育ちパイロットを志す『舞いあがれ!』(NHK総合)での柏木の持つ不器用さは似て非なるもの。かたや優しさなどからくる内的要因による不器用さで、もう一方は厳しい環境で育てられたがゆえの外的要因による不器用さとでもいえようか。少なくとも目黒は、その対極の不器用さを、同じ“不器用さ”のなかで器用に演じ分けるだけのスキルを持ち合わせている。

 とりわけ『教場II』と『舞いあがれ!』では、どちらも冷徹な一面を持ち合わせ、生真面目でとっつきづらい役どころ。しかし前者ではチーズインハンバーグを知らず、後者ではお好み焼きを食べたことがないという一面でギャップ、あるいは“抜け”があることが示される。それは映画単独初主演作の『わたしの幸せな結婚』にも通じているだろう。ここで演じた冷酷無慈悲な軍人、久堂清霞もまた不器用な男であり、食事を通してヒロインとの関係が変化していく。いずれにしても、『わたしの幸せな結婚』でも作劇上の視点はヒロインからのものであり、清霞は“相手役”というニュアンスが強かったことは否めない。

目黒蓮、『舞いあがれ!』で示した俳優としてのプロフェッショナルさ 緻密な分析力が光る

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 こうして“不器用”な“相手役”としての二枚看板をほしいままにした流れでやってくる『トリリオンゲーム』で演じる役柄は、類稀なるコミュニケーション能力の持ち主で天性の“人たらし”。いともたやすくハッタリをかまし、計算高く、一兆ドルを手に入れようとする野心家ときた。これまで演じてきた役柄となにからなにまで正反対の、器用でなくては成立し得ない主人公ともなれば、目黒自身のイメージを180度覆す大きなチャレンジになることは間違いないだろう。

 そういえば、『映画 おそ松さん』と『月の満ち欠け』で新人男優賞を受賞した今年のキネマ旬報ベスト・テンの授賞式で目黒は、「お芝居をさせていただく時はなるべく自分を消すようなイメージで、足し算引き算をしている」とスピーチしていた。Snow Manの目黒蓮として持ち合わせている絶対的なイメージを凌駕していくことを、俳優業に挑む上でのテーマとしているならば、今回のような新たな挑戦は大歓迎だろう。足し算引き算に飽き足らず、掛け算でも割り算でも自在に繰り出して、もっと面白い俳優になってくれることを期待しながらこの新作を追っていきたい。

■放送情報
金曜ドラマ『トリリオンゲーム』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:目黒蓮(Snow Man)、佐野勇斗、今田美桜、福本莉子、竹財輝之助、あかせあかり、國村隼、吉川晃司
原作:稲垣理一郎/作画:池上遼一『トリリオンゲーム』(小学館『ビッグコミックスペリオール』連載)
脚本:羽原大介
演出:村尾嘉昭、竹村謙太郎、田中健太
プロデューサー:松本明子、松下ひろみ、加藤章一
主題歌:Snow Man「Dangerholic」(MENT RECORDING)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS/撮影:高橋裕子
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/trilliongame_tbs/
公式Twitter:@trillion_tbs
公式Instagram:trillion_tbs
公式TikTok:@trillion_tbs

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