永瀬廉はもっともっとおもしろい役者になる 役柄に“物語を与える”唯一無二の個性

永瀬廉、“物語を与える”唯一無二の個性

 公開から1カ月が経った現在も好調な興行が続いている『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』で、ゲストキャラクターの“パーフェクトネコ型ロボット”ソーニャの声を担当したKing & Princeの永瀬廉。物語のカギを握る存在として、のび太やドラえもんとの関わりを通して“心”を取り戻す。ロボットにも心はあるのだという『ドラえもん』作品において非常に大きなテーマを担うと同時に、永瀬の“声”がしっかりとソーニャと重なり合う。その塩梅は、声優初挑戦とは思えないほど堂々たるものであった。

 2018年にKing & Princeがデビューを果たして以降、同グループのいわゆる“俳優枠”を牽引してきたのは平野紫耀と永瀬の2人であろう(もちろんここにきて主演作が増えつつある髙橋海人の活躍ぶりも見逃せないのだが)。平野がスター性の高さを武器に限りなく王道に近いジャニーズ俳優のステップを突き進んできた一方で、永瀬の場合はNHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』や時代劇であるNHK土曜ドラマ『わげもん〜長崎通訳異聞〜』と、様々なタイプの作品に挑みながら演技を磨く。そうした棲み分けがしっかりと取られてきた。

King & Prince 永瀬廉&神宮寺勇太、『うちの執事が言うことには』で見せた絶妙な掛け合い

5月17日より、King & Prince・永瀬廉初主演の映画『うちの執事が言うことには』が公開された。原作は高里椎奈に…

 もっとも、永瀬にとって初主演映画となった『うちの執事が言うことには』の時点では、浮世離れした烏丸花穎というキャラクターの強さもあってか少々おぼつかない表情も散見していたことは否めず、その分、作品を重ねるごとに着実に力を付けていることは明白だ。それはよく共演者らの談話などでも語られている永瀬自身の演技に対する姿勢の成果であり、さながら『弱虫ペダル』で小野田坂道が、初めはおっかなびっくりロードレーサーにまたがりながらも経験を重ねるごとに持ち前のクライマーとしての才能を発揮する術を見つけ出していく様子にも近い。

永瀬廉、『おかえりモネ』に刻まれた俳優としての凄さ 亮と未知の幸せな結末に寄せて

連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK総合)の第120話が10月29日に放送され、物語が完結した。最終回で百音(清原果耶)は幼な…

 改めてそのフィルモグラフィを辿ってみて気が付くのは、高校生役を演じた『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)と『弱虫ペダル』(『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』(読売テレビ・日本テレビ系)でも高校生を演じてはいたが、あれは実質的に織田信長だったので別物ととらえよう)、高校を卒業して漁師の道を進む『おかえりモネ』、ぼんやりとした日々を送る大学生を演じた『真夜中乙女戦争』と、おおむね作品ごとに演じる役柄の年齢層が順序をもって運ぶこと。まだ出演作が決して多いわけではない永瀬の急成長の決め手は、そうした演じる役柄の明確な幅の広さにあるのだろう。

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