芳根京子、『それパク』亜季役は原点回帰? 真っ直ぐなキャラクターを彩る愛くるしさ

芳根京子、『それパク』亜季役は原点回帰?

 第2話では、亜季は新設された知財部で働くことになる。初仕事は月夜野ドリンクの主力商品「緑のお茶屋さん」と名前もパッケージもそっくりなチョコレート「緑のオチアイさん」を忠告しに出向くこと。しかし、製菓会社の社長・落合(でんでん)の温かい人柄に触れ、商品はパクリではなく悪意のないパロディーとして許してあげられないかと何度も思い悩む。いちいち情に流され決断ができない亜季の姿は本来ならイライラしてしまうところだ。

 しかし実際問題、ファーストコンタクトで優しくされた相手に「訴えるぞ」と忠告をすることは、もし自分が同じ立場だった場合、気まずくて仕方ないだろう。これを、訴えるかどうか迫られた時の「訴えま……すん」という言葉や、いたずら書きで上司への憂さ晴らし、さらにじっと相手を見つめて話すこの清純派ゆえの魔性が、苦悩が伝わる愛おしいキャラとして視聴者の心を掴んでいる。

 また、亜季の優柔不断を、視聴者の声を代弁するかのように絶妙なタイミングで北脇がバッサリ切っていく。単に物語上の凸凹コンビというだけでなく、亜季から視聴者を離さないようにする北脇がいることの安心感、このバランスの良さも大きい。そして、亜季は悩んだ末に結局答えが出ないのだが、最後に北脇がベストな答えを提案し、亜季の行動があったからこそ導かれた、という結末となる。北脇のかっこよさと、頑張りが報われる亜季という、2人の好感度が一気に上がり、観ていて清々しいのだ。

『それパク』芳根京子が考えるパクリとパロディの違い 重岡大毅が落合製菓に出した折衷案

芳根京子が主演を務めるドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)は、1話ごとに本作の大きなテーマである「知的財産」…

 今回の役が芳根の新境地かと言われれば、そうとも言い切れない。これまで演じてきたキャリアウーマンの奥底にある素直な人間性だったり、初主演ドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS系)や朝ドラ『べっぴんさん』(NHK総合)、『海月姫』(フジテレビ系)で演じていたお人好しで健気な女子という、原点とも言えるような真っ直ぐなキャラを演じていると思う。今作はライトなタッチで、登場人物たちもマイペースでトボけた人が多い雰囲気だからこそ、真っ直ぐなキャラの亜季が良い意味で浮く。極端なことを言えば、変な社会の中に、真っ当な人を放り込み、そこで常識が通じず振り回される面白さ、それに近いものがある。ただそれこそが社会の縮図であり、社会人の現実なのかもしれない。

 本来ならパワハラ風味の重い作品になってもおかしくないところを、自分だったらどう思うか、それを共感させる等身大の演技を芳根は愛嬌たっぷりに見せ、魅力的なものに変えている。ただ、亜季がいつダークサイドに陥ってもおかしくない問題が続いているだけに、今後はどうなるかは分からない。第3話では他社の特許を侵害していないか「侵害予防調査」に亜季が挑む。

参照

※ https://www.ntv.co.jp/sorepaku/articles/3471uqgbxviqel779y1u.html

■放送情報
『それってパクリじゃないですか?』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズWEST)、常盤貴子
原作:奥乃桜子『それってパクリじゃないですか? 〜新米知的財産部員のお仕事〜』(集英社オレンジ文庫刊)
脚本:丑尾健太郎
演出:中島悟ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:枝見洋子、森雅弘、岡宅真由美(アバンズゲート)
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/sorepaku/
公式Twitter:@sorepaku_ntv
公式Instagram:@sorepaku_ntv
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