重岡大毅の演技には色気も宿る いかなる役柄も許される“懐の深い”俳優になるまで
芳根京子が主演を務める日本テレビ系ドラマ『それってパクリじゃないですか?』で、笑顔を封印したクールな演技で話題となっている重岡大毅(ジャニーズWEST)。重岡はこれまでに感情を剥き出しにする役を数多く演じており、リアリティのある役者としてジャニーズ俳優の中でも実力派として知られている。そんな重岡の演技の魅力について注目してみたい。
『それパク』クールな重岡大毅が見せた意外なギャップ 胸を打つ表情豊かな芳根京子の演技
芳根京子が主演を務めるドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)が4月12日よりスタートした。本作のテーマはズバリ…
重岡は、兵庫県出身の現在30歳。2014年からジャニーズWESTのメンバーとして活躍をしているが、俳優として彼を知る人も多いだろう。明るく能天気な役から、ヒリヒリとした低温火傷のような役まで、いつどの作品から知るかによって俳優としてのイメージが異なるはずだ。どの作品にも共通しているのは、決してヒーロー的な役を演じるのではなく、人間臭く、等身大の人物が抱える孤独と苦悩をナチュラルに表現していくのが巧い役者だということ。
印象的な役を挙げると、まずは菅田将暉、小松菜奈がW主演を務めた映画『溺れるナイフ』での、夏芽(小松菜奈)に思いを寄せる同級生・大友役だ。金髪で自由な生き方のコウ(菅田将暉)とは対照的に、大友はおおらかで優しく、純粋で真っ直ぐな性格。しかし、10代の学生にとってはアウトローな雰囲気を持つ方が心惹かれるもので、恋愛対象としてはいい人止まり。熱くなればなるほど、どこか頼りなく物足りない男に見えてしまう。そうした“普通の人物像”のやるせない胸の内を表現して主演の2人を際立たせつつ、大友にも感情移入できるのは、重岡のリアリティある演技の賜物だろう。当時は23歳だが、中学生~高校生役を違和感なく見せてしまう純粋無垢な瞳と佇まいも重岡の特徴的なところだ。
2019年「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」の新人賞を受賞したのが、多部未華子主演ドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)でのサラリーマン・山田太陽役。山田は多部演じる堅物な経理部の森若さんとは対照的に、明るく前向き、もはや能天気とも言える人物。人間関係や経理の問題で嫌なことが起きても、太陽が出てくるだけで、パッと画面が明るくなり、登場人物たちの心を包み込んでいた。これはまさにアイドルとしての重岡のピュアなキャラクターがそのまま活かされた作品のように思う。最初は鬱陶しく頼りないが、話数を重ねる度に憎めないキャラとなり、邪心のなさが最後にはカッコよく見えてくる。
重岡大毅「ゆっくりいこう」でハートを掴む “山田太陽スマイル”は視聴者の癒しに
“ニコニコ”より“ピカピカ”という言葉がよく似合う。お日様のように輝いて、一週間で疲れ切った金曜夜の心をパッと照らし、ホッと温め…
同年に出演した、『死役所』(テレビ東京系)第6話では、お笑いコンビの1人として出演。やっと辿り着いた賞レースの決勝だが、相方は病魔に襲われ決勝の舞台に間に合わない。1人舞台に立ち笑顔で取り繕うも、必死に抑えていた悲しみ、悔しさ、労い、全ての感情があふれ、マイクの前で涙を流して喋る。マイク1本で人を感動させる演技力はもちろんのこと、視聴者を惹きつける求心力の高さを感じさせた。
他にも『知らなくていいコト』(日本テレビ系)では、吉高由里子演じるヒロインの元婚約者で闇堕ちする野中春樹役を怪演。2021年に主演を務めた『#家族募集します』(TBS系)では、シングルファザーとして、子供思いの愛情あふれる父親役を演じた。妻を事故で亡くすも子供の前では笑顔でいると決め、虚勢を張って生きる人の葛藤を体現し、人は誰も悲しみを受け入れて生きていかなければいけない、そうした当たり前のことを当たり前のように見せる演技だった。『死役所』で見せた「泣きながら笑う」演技が今作でも感動を誘った。