芳根京子、『それパク』亜季役は原点回帰? 真っ直ぐなキャラクターを彩る愛くるしさ

芳根京子、『それパク』亜季役は原点回帰?

 日本テレビ系水曜ドラマ『それってパクリじゃないですか?』で主演を務める芳根京子。近年は優秀で真面目なキャラを演じることが増えていた芳根が、今作ではお人好しで情にもろい、オドオド系のキャラクターを演じている。

 近年の芳根はキャリアウーマンの役が多い。仕事ができて、主人公を励まし支える、名サポーター的な存在を演じている。例えば、『真犯人フラグ』(日本テレビ系)では、家族が失踪し殺人容疑で疑われる部長を信じ、完璧なサポートをする部下役を演じた。さらに『オールドルーキー』(TBS系)では、スポーツマネジメント会社の優秀なキャリアウーマン役で、引退した元プロサッカー選手・新町(綾野剛)の教育係として仕事のイロハを教えた。

 どの作品においても、主人公の純粋な姿勢に影響され、硬い人が柔らかくなったり、過去のトラウマが解消されたりと、自身も変わっていくケースが多い。それは、芳根の清潔感のある容姿と、強い眼差し、そしてちょっとした表情の変化で感情を伝える知的なイメージがそうさせるのだろう。静と動の切り替えの演技が上手いだけに、クールに見えて実はいい人だったり、逆に裏切ったり、キャラを発展させることができる俳優なのだ。それが今作ではオドオド系のキャラクターとして、お人好しで仕事に関しては隙だらけ、そして上司に支えられる側の存在。最近の傾向とは真逆なところが面白く、その愛くるしいキャラが見どころの1つとなっている。

 芳根が演じる亜季のキャラクターは、公式サイトのプロフィールによると「期待されると気合いが入るものの、自己評価は意外と低く、自分の意見を主張するのが苦手。その分、人の優しさや弱さに気づき、情に脆い」とある。しかし物語を見ると決してダメ社員ではなく、実に普通の感覚を持った人という印象だ。

 第1話では、月夜野ドリンクが開発を進めていた「キラキラボトル」のデザインが、ライバル社のハッピースマイルビバレッジに盗まれる事件が発生し、亜季の情報漏洩が疑われる。

 この話での問題は「冒認出願」。亜季が話してしまったと証言をすれば相手はその話を聞いて開発したことが証明される。だから上司や北脇(重岡大毅)は亜季に証言を迫る。しかし言ってもいないことを証言するのは納得ができない亜季は、最後まで自分の意志を貫く。このとき、芳根は亜季を単に反発する女性として演じなかった。公式サイトのインタビューで芳根は「亜季は直感的なタイプで、頭ではわかっていても腑に落ちないと心が向かない、ついていかないというような引っ掛かりがあるところがすごく共感できる女性なので、難しく考えずにそのまま飛び込んでみようかなと思っています」と答えているように、亜季の気持ちが素直に伝わる演技を見せることで、視聴者が共感できるキャラを作り出すことに成功したのだ。(※)

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