『鬼滅の刃』が起こしてきた異常事態 『刀鍛冶の里編』はどんな作品に?
アニメ『鬼滅の刃』最新作『ワールドツアー上映「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』が2月3日より公開される。
本作で描かれるのは、『遊郭編』の第10話、第11話と『刀鍛冶の里編』の第1話。テレビアニメ新シリーズとして『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』は4月よりフジテレビ系にて放送が決定している。
今や大衆アニメと化した『鬼滅の刃』。アニメ・映画から漫画まで幅広く詳しいドラマ評論家の成馬零一氏は、『鬼滅の刃』のメジャー化について次のように語る。
「『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や原作コミックス連載中は漫画ファンを中心に盛り上がり、そこから国民的メガヒットとなり、一気に大衆化しました。『遊郭編』が放送される時には“みんなが観るアニメ”という立ち位置に躍り出て、民放23時に放送される地上波のアニメが高い視聴率を獲得し、毎週話題になるという異常事態でした。『SPY×FAMILY』や『チェンソーマン』のアニメも盛り上がっていますが、やはり話題の中心はSNSで、同じようにアニメと映画が大ヒットした『呪術廻戦』と比べても視聴者層の広がり方が一段違う。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は何度地上波放送されても人気がありますよね。テレビで放送されていると誰もがなんとなく観てしまう作品という意味では、スタジオジブリの『天空の城ラピュタ』クラスで、近年の作品で言うと『君の名は。』などの新海誠作品と並ぶ勢いです。今のアニメは、深夜枠や配信での放送がほとんどということもあってか、クセが強くて人を選ぶタイプの作品が多いのに対し、『鬼滅の刃』は10人いたら10人が理解できるように作られている。その「シンプルな力強さ」は他のアニメにないものだと思います。実はこういうシンプルな作品の方が、作るのは難しいんですよね。バトル漫画としても同じことが言えて、『週刊少年ジャンプ』本誌でも『HUNTER×HUNTER』や『BLEACH』が確立した複雑なバトル漫画の方が『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』といった後続の作品に大きな影響を与えながら継承されている。対して『鬼滅の刃』のフォロワーと言える作品は今のところ存在しないので、不思議な立ち位置の作品だと思います」
続編である新シリーズとして描かれる『刀鍛冶の里編』はどんな作品になりそうか。
「TVアニメの『無限列車編』や『遊郭編』は“泣きの要素”が強い物語でしたが、それに比べると原作の『刀鍛冶の里編』は、もう少しユーモラスで、少年漫画的な話です。善逸と伊之助の出番がほとんどないので、これまでとはテイストが変わるのかなと思います。アクションで見せていく場面が多く、これまでのような悲しみを背負った敵が登場する感じもない。“泣きの要素”が薄まった活劇的な話になるのかなと思います」