大ヒットは“妹の力”が支えている? 『鬼滅の刃』禰豆子から考える歴代興行収入ランキングの傾向
『鬼滅の刃』から見る国内歴代興行収入上位作品
10月の劇場公開から国内外のジャーナリズムや批評は、まさに『鬼滅の刃』一色である。
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そこでこの小さなコラムでは、映画『鬼滅の刃』を軸に、現在の国内の映画興行収入ランキング上位の作品をあらためて俯瞰したときに、その個々の作品世界やテーマを貫いていかなる「傾向」が見えてくるのかを考えてみたい。とはいえ、ここでいう共通の「傾向」というのは、マーケティング的な「ヒットの要因」というよりも(ぼく自身はそういった記事はいささか食傷気味だ)、もっと作品批評的な視点から読み取れる想像力のまとまりのことである。
ひとまず最初に確認しておくと、日本の現在の歴代興行収入ランキングの上位は、以下の通りになっている。まず第1位は、さきほども触れたように、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』で約308億円。第2位は、もちろん映画『鬼滅の刃』で約302億円。第3位は、ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』(1997年)で約262億円。続く第4位はクリス・パックとジェニファー・リーの共同監督『アナと雪の女王』(2013年)の約255億円。そして第5位が、新海誠監督『君の名は。』(2016年)の約250億円、という順だ。上位5作品のうち、唯一の90年代(20世紀)作品である『タイタニック』を除くとすべてアニメーション映画であり、また、5作品中3作品が2010年代の映画であるなど、切り口によってこの並びからはさまざまな解釈を引き出すことができるはずだ。では、『鬼滅』を軸に見てみるとどうなるか。