ワンピース、ドラゴンボール、スラダンの惑星直列がもたらした「東映の2022年」

惑星直列がもたらした「東映の2022年」

 先週末の動員ランキングは『THE FIRST SLAM DUNK』が金、土、日の3日間で動員31万9000人、興収4億8100万円をあげて6週連続1位となった。1月9日(祝)までの公開38日間の累計成績は動員527万2884人、興収76億8539万7970円。公開6週目のウィークデイに入ってからも、好調な成績を維持している。

 一方、金、土、日の3日間で動員28万1000人、興収3億7500万円をあげて先週末2位の『すずめの戸締まり』は、公開9週目のウィークデイに入ってからは少々息切れが見られる。もっとも、1月9日(祝)までの60日間で既に動員912万9927人、興収121億3232万6470円をあげていて、新海誠監督にとって初となった正月興行を見据えた11月公開の作品として、十分にその重責を果たしたと言っていいだろう。

 2023年の正月興行を振り返るなら、予想通り『THE FIRST SLAM DUNK』と『すずめの戸締まり』の2作品が圧倒的な強さで興行全体を牽引。先週末の段階で興収30億円を突破した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』はスタートダッシュでつまずいたものの、その後は大崩れすることなくトップ3の一角にとどまり続けた。空前の製作費がかかった超大ヒット作の続編として高すぎるハードルを課せられていた『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、グローバルにおいては期待通りの結果を収めつつある。この状況を別の視点から語るなら、北米を筆頭に海外各国では『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のライバル作品が軒並み不甲斐ない成績に終わったのに対して、日本だけは2作の国内アニメーション作品が期待以上の健闘をしたという言い方もできるだろう。

 興行通信社から情報提供を受けている本記事だが、今週から動員ランキングの対象がこれまでの土曜日と日曜日の「週末2日間」から、北米を筆頭とする海外各国と同じように金曜日、土曜日、日曜日の「オープニング3日間」へと変更された。徐々に金曜日公開が定着してきた海外作品に倣って、国内最大手の東宝が自社作品の公開日を土曜日から金曜日への移行させたのは2018年4月。そこから数えて約5年、ようやく記事を書く際の煩雑さから解放されることとなった。もっとも、2022年を代表するヒット作『ONE PIECE FILM RED』、そして『THE FIRST SLAM DUNK』をはじめ、東映は現在も作品によって公開日を土曜日に設定しているので、今後また記事を書く上で新たな齟齬が生じる可能性もある。土曜日公開に関しては、日本独自の映画館カルチャー、言葉を換えるなら奇習である「来場者特典」とも結びついているものなので、今後も横並びに金曜日公開とはならないかもしれない。

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