『ガンニバル』高杉真宙演じる京介は一体何者なのか “善良な人々”が変貌する恐ろしさ

『ガンニバル』京介は一体何者なのか

 トンネルのなかで“後藤家”の睦夫(酒向芳)らと激しい銃撃戦を繰り広げた阿川大悟(柳楽優弥)。逮捕された睦夫の供述通り、山中から前任の駐在・狩野(矢柴俊博)の白骨化した遺体が発見される。それでも後藤家で遭遇した“あの人”にこだわる大悟に対し、署長(利重剛)は怪訝そうな表情を浮かべ、「後藤家とは関わったらダメなんだよ」と念を押す。そしてそこへ現れた恵介(笠松将)ら後藤家の面々は、静かに狩野の遺体に手を合わせるのである。

 ディズニープラス「スター」オリジナルシリーズ『ガンニバル』。猛スピードで駆け抜けていった第3話から一転して、1月11日に配信がスタートした第4話はじわりじわりと恐怖を、あるいは大悟の内にひそんだ狂気をあおり立てていく。しかも今回“恐ろしい”のは後藤家の人間ではなく、彼らと対照的に善良な人々だと思われていた供花村の村人たちだ。

 村人たちと交流を重ねながら、少しずつ村へと馴染んでいく大悟たち阿川一家だったが、家の壁に「人殺し」の落書きがされたことから事態は一変する。家の周りにフェンスを作ろうとする大悟と、それを止めようとするさぶ(中村梅雀)との間で些細な諍いとなり、その日のうちに大悟は村人たちから無視されるようになるのだ。「角が立つから」というそれだけの理由で村八分のような状態にされ、しかもたった1日で噂が村中に広まってしまう。閉塞的な村社会と、それに染まりきった人間の恐ろしさは、ある意味では人を喰らう連中にも匹敵する。

 それにしても、駐在所に盗聴器を仕掛け、何かあればすぐに土足で上がり込んでくる村人・さぶ役に中村梅雀を配したというのは絶好のチョイスだ。良く言えば“穏やかそうで頭が切れる”ともいえるが、腹の中でなにを考えているのかわからない底知れぬ不気味さ。もう20年近く前の映画になるが『青の炎』で二宮和也演じる主人公を追い詰める刑事役を演じた辺りから、こうしたタイプの役が実にさまになる。睦夫役に怪物的バイプレイヤーの酒向芳を配役したことも含め、この煮ても焼いても食えなそうな村人たちのキャスティングの妙は、明らかにこのドラマをより恐ろしく仕上げている。

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