『鎌倉殿の13人』は全話が秀逸だった “ある家族”をエンタメに昇華した脚本の凄さ
主人公・義時の死をもって、ひとまず幕が下ろされた「鎌倉」の物語。とはいえ、ここまで肩入れして観てしまった以上、「その後」が気になってしまうのは、致し方ないことだろう。義時の死後も、息子・政村(新原泰佑)の執権就任に執着した「のえ/伊賀の方(菊地凛子)」は、その後どんな行動に打って出て、どのような処遇を受けるのか(「伊賀氏の変」)。叔父・時房や、義時の盟友・三浦義村(山本耕史)に支えられた泰時は、その後どのような形で「御成敗式目」を制定するのか(泰時を含む新たな13人の評定衆とは?)。泰時の正室・初/矢部禅尼(福地桃子)は、なぜ泰時のもとを去ってしまうのか(これは史実においても、依然として謎に包まれている)。
頼家(金子大地)の忘れ形見・竹御所は、猶子として迎え入れられた実朝(柿澤勇人)の正室・千世/西八条禅尼(加藤小夏)のもとで、どのように育ち、いかにして政子を支える存在となってゆくのか。義時の三男・重時は、どのようにして異母兄・泰時を助ける存在になり、その後「極楽寺」を開基するに至るのか。そして、義村の死後、北条家(得宗家)に反旗を翻すことになる三浦一族の運命とは(「宝治合戦」)。
さらに言うならば、頼朝が実権を握って以降、約150年にわたって続くことになる「鎌倉時代」の「最大の事件」といっても過言ではない「元寇」とは、どのようなものであったのか。それに対して、第8代執権・時宗は、どのように対処したのか。どうか、そのあたりを、誰かこのまま引き継いで、物語ってはくれないだろうか……。それが、今の正直な気持ちである。そんなドラマは滅多にない。かくして、まだまだしばらくは、『鎌倉殿の13人』ロスが続きそうな、今日この頃なのである。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』総集編(全4章)
NHK総合にて、12月29日(木)13:05~17:40 放送(中断ニュースあり)
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK