吉沢亮、優しさも悲しさも瞳に宿す演技力 『PICU』にもたらした温かさ

吉沢亮が『PICU』にもたらした温かさ

 毎週月曜に放送中の『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系/以下『PICU』)を一言で表すなら「泣」だ。

 生きたいともがく子、もうすぐ死んでしまうという不安に押しつぶされそうになっている子、生きてほしいと願うことしかできない親、そして救いたいと必死になる医師をはじめとする医療スタッフたち。すべての人々の思いが胸に突き刺さってくる。吉沢亮演じる“しこちゃん先生”こと志子田武四郎もことあるごとに涙を浮かべるものだから、こちらもつられて涙がどんどん出てくる。

 だが悲しいだけではないのが、このドラマのすごいところだ。観終わった後、今日もたくさん泣いたな……と思うと同時に必ず小さな希望を感じているのだ。吉沢の演技が、このドラマに不思議な温かさを与えているのではないだろうか。

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 吉沢といえば、目がとても印象的だ。『PICU』のポスターでは、少し悲し気な、吉沢の透き通った目から今にも涙が溢れそうだ。その姿は美しく、文字通り絵になる。だが、同じく吉沢が演じた『東京リベンジャーズ』(2021年)の佐野万次郎や、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年/NHK総合)の渋沢栄一は、その目に燃えるような情熱が宿っている。吉沢の表情には、自信がみなぎっていて、ニヤリとした不敵な笑みがとてもよく似合っている。かと思えば、朝ドラ初出演となった『なつぞら』(2019年/NHK総合)での山田天陽の目はどこか色を失っていて、生気がない。若くして亡くなってしまった彼の生涯を感じさせるように、吉沢の佇まいも消え入りそうで儚く感じられる。

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