吉沢亮、優しさも悲しさも瞳に宿す演技力 『PICU』にもたらした温かさ
志子田の目には、常に優しさがある。その優しさがPICUそのものに向いたとき、それは組織のためになりたいという情熱に変わった。だから志子田はPICUの人手不足解消のために走り回ることができ、その行動が周りの人々の気持ちを動かしていった。一方で、自らの優しさでもどかしい思いを抱えてしまうこともある。患者である子どもたちを救おうと奮闘する志子田だが、必ずしも全員を救えるわけではなく、自身の実力のなさや経験のなさに直面してしまう。救えなかった悔しさが涙となり、医師としての無力さが目の力を失わせる。このように吉沢の目が演じる人物の人柄を物語っているように思えるのだ。
志子田は医師として、成長を遂げている。最初は頼りなかったかもしれないが、今では科長の植野(安田顕)からは“不可欠な人材”と言われ、あの手厳しい救命医・綿貫(木村文乃)からも“ギリ一人前”と評されるまでになった。でも実力がついてきた分、志子田は越えられないと思えるような壁にぶつかり、耐えられないくらいの悲しみも感じている。つらいが、成長とはそういうものかもしれない。行動しなければ、そういうことに悩んだりはしないのだ。母の突然の死もあり、いまは意気消沈している志子田。今にも溢れそうなくらいの涙をためててもいい。もう一度、その目に強い光が灯る瞬間を見たい。
■放送情報
『PICU 小児集中治療室』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:吉沢亮、木村文乃、安田顕、生田絵梨花、高杉真宙、菅野莉央、甲本雅裕、中尾明慶、高梨臨、菊地凛子、正名僕蔵、松尾諭、大竹しのぶほか
脚本:倉光泰子
演出:平野眞
プロデュース:金城綾香
医療監修:浮山越史(杏林大学病院)、渡邉佳子(杏林大学病院)
主題歌:中島みゆき「俱に」(ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
音楽:眞鍋昭大
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/PICU/
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